- 岡尾 知子 - Tomoko Okao
漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!
◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/
◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com
◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/
梅雨のジメジメ天気に弱りがちな脾胃の助けに【食べる黒豆甘酒】
薬膳常備菜Vol.13
重くだるい症状は梅雨の湿気が原因
日本人は、総じておなかの弱い人種であるといわれます。
確かに、欧米や大陸の人に比べて食が細い気がするし、年末年始になると胃腸薬の出番が多くなるような……。長い時間をかけて、DNAに刻まれてきた特徴なのかもしれませんね。
漢方養生を学ぶと、季節に合わせて体も変化することを知ります。
「おなかが弱い」という日本人の弱点の影には、日本の四季が関係しているのではないか。私にはそう思えてなりません。なぜなら、昼間の時間がもっとも長い今の時期が、日本では梅雨の真っただ中。本来なら、天からの陽気をいただいて大いに活動すべき時期に、私たちは、じめじめ、ひんやりとした雨の季節を迎えてしまうのです。
冷たい湿気が体に侵入すると、弱るのは五臓の「脾胃(ひい)」、つまり消化機能です。
東洋医学では、消化吸収の機能をつかさどる「脾」には、栄養や水分を摂りこんで、体のすみずみに運ぶ働きがあると考えます。湿気によって脾胃が弱ると、消化不良で下痢をしやすくなります。さらに、水分のめぐりが悪くなってむくみやすくなったり、体が重だるく疲れやすくなったりと、さまざまなトラブルが起こるのです。
この時季は、健康を左右する大事な季節。特に脾胃をいたわることは、一年を通して、健康で元気に動ける体を保つカギといえるでしょう。
消化を促す麹でつくる手作りサプリ
今回ご紹介するのは、これからの季節におすすめしたい「黒豆甘酒」です。
甘酒の主原料である麹は、古くから健康食として伝えられたもの。中国の古典『本草綱目』には「温にして毒なし。穀を消し、痢を止める」と記されていて、おなかを温め、消化を助け、下痢を防ぐ作用があるとされています。
麹で作る甘酒は、日本に古くから伝わる発酵食品。
アミノ酸、ビタミンB群が豊富なことから「飲む点滴」と呼ばれています。腸内環境を整える乳酸菌、オリゴ糖、食物繊維も含むということですから、おなかの働きを強化するにはもってこいの食材といえるでしょう。
もちろん、米麹だけでもOKなのですが、今回の甘酒は黒豆入り。
お豆の粒々感も楽しめる“食べる甘酒”に仕上げました。薬膳では、黒豆には水分代謝を促して余分な水を排出する食材。消化を助ける麹と、余分な水分を取り除いてくれる黒豆のコンビは、湿気で消耗しがちなこの時季のおなかを、やさしくいたわってくれます。
お米や玄米を加えない米麹だけの甘酒は、甘味が強いのが特徴。
おちょこいっぱい程度をスプーンで食べれば、おいしい手作りサプリになるでしょう。もちろん、お湯や温かい豆乳で割って飲むのもおすすめです。梅雨時はもちろん、暑い季節の夏バテ対策や、秋口の乾燥肌対策にも! 体調を壊しやすい梅雨の時季から、ぜひ「甘酒習慣」を試してみてください。
【材料】
・米麹…200g
・黒豆(小さめのもの)…30g
・60℃のお湯…800㏄
【作り方】
①黒豆はたっぷりの水に入れて一晩おく。そのまま電子レンジに5分間かける。※豆が柔らかくなります。
②炊飯器に手でほぐしてバラバラにした米麹とお湯、①を入れて混ぜ、保温機能で8時間おけば出来上がり。※粒粒が気になる場合は、ブレンダーでなめらかにしてください。
★冷蔵で1週間程度保存できます
【食材メモ】
麹:消化を促し、おなかの調子を整える。胃の気をスムーズに下ろして食べ過ぎ飲みすぎを癒す。
黒豆:水分代謝をよくして水の滞りを取り除く。むくみ、下痢に。血の巡りをよくする働きも。
砂糖不使用なのに甘味の強い甘酒は、甘味料感覚でも使えます。
同じ発酵食品のヨーグルトにトッピングすると、自然な甘味づけになります。
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