老化防止の要、腎陰・腎陽を補う【エビとホタテのXO醤】

薬膳常備菜Vol.7

「女性は７の倍数、男性は８の倍数の歳に命の節目を迎える」。これは、東洋医学の世界では非常に有名なフレーズです。この一節が出てくるのは、中医学の古典の中で最も重要な『黄帝内経・素問』の上古天真論。五臓の「腎」に蓄えられている「腎気」の成長、衰退を表現したものです。腎は、お母さんのおなかの中に、命の種として誕生した瞬間に授かる「先天の気」を蓄えている場所。腎気は20代頃まで成長を続けますが、30歳前後にピークを迎え、その後、徐々に衰えはじめます。そして40代になると、老化が本格化。疲れやすくなったり、肌がたるんだり、記憶力が低下したり…。こうした変化は、すべては腎の衰えによって起こるのです。
老化防止に重要なのは、腎を大切にすること。そして、腎の消耗に最も気を遣わなければならない季節が、冬なのです。自然界の冬は、虫も動物も活動を休止し、パワーをじっくり蓄えます。私たちの体もそれと同じ。忙しい年末年始であっても、体はパワーを無駄遣いせずに、大事に、大事に蓄えようとします。そうすると、活発になるのが、命の“種火”を蓄えている腎。腎が頑張りすぎれば、当然、消耗し、弱ってしまうでしょう。腎が傷つきやすい冬は、一年で最も老化が進む時期。無理をしないよう、気を付けたいですね。

エビは「腎陽」を、ホタテは「腎陰」を補う

冬こそ、腎気を補う食事を！　重要なのは、腎に蓄えられた「腎気」「腎陽」「腎陰」を底上げする食事です。今回、紹介する薬膳常備菜は、「エビとホタテのXO醤」。ポイントは、干しエビ、ホタテという２つの「補腎食材」です。
エビは、腎に蓄えられている温める力の源「腎陽」を補う食材。体が冷えるとか、足腰が弱ってきたといった変化におすすめです。ホタテは、腎に蓄えられている冷ます力、潤す力の源「腎陰」を補う食材。疲れると熱感が出る、ほてりやのぼせがあるといった、女性の更年期に有効です。さらに、気を補って、消化機能を助ける干し椎茸もプラス。減り始めた「腎気」を食べ物からしっかり補うことで、腎の“貯蔵庫”を満たしてあげましょう。
旨みをたっぷり凝縮した自家製XO醤は、あると便利な絶品万能調味料。ごはんの友に、おひたしや麺類の薬味に、炒め物の調味料にと、大いに活躍しますよ！

【材料】（作りやすい分量）
・干し貝柱…15g
・干しエビ…20g
・干し椎茸…15g
・長ねぎ…1/2本
・しょうが…１片
・にんにく…１片
・サラダ油…大さじ２

・紹興酒　大さじ１
・鷹の爪（種をとってみじん切りに）　3本
・粉山椒…少々
・ナンプラー　小さじ１
・しょうゆ…小さじ2
・砂糖…少々
・ごま油　大さじ３

【作り方】
１． 干しエビ、干し貝柱、干し椎茸は軽く洗って水で戻す。エビは細かく切り、貝柱は細かくほぐし、椎茸は軸をとって細かく切る。（戻し汁はとっておく）
２． 長ねぎはみじん切りに、しょうが、にんにくは皮をむいてすりおろす。フライパンにサラダ油ともに入れ、強火にかける。油が熱くなってきたら弱火にし、じっくり炒める。
３． ２に１を加えてさらに３～４分炒める。
４． 紹興酒を加え、アルコール分がとんだら戻し汁を加え、鷹の爪、ナンプラー、しょうゆ、砂糖を加え、強火で汁気がなくなるまで炒める。
５． ごま油を加え、全体を混ぜたら火を止める。

【薬膳食材メモ】
エビ：体に本来ある温める力「腎陽」を補う。加齢による腰膝の弱りや冷え症に。
ホタテ：体に本来ある冷ます力、潤す力「腎陰」を補う。更年期の症状や高血圧などに。
干し椎茸：気を補い、消化機能を助ける。
唐辛子：おなかを温め、冷えをとる。冷えによる腹痛や消化不良に。
山椒： 体の内側を温め、おなかの冷えや痛みをとる。

ゆでたキャベツにXO醤油をトッピング。シンプルだけど、これだけで贅沢なごちそうになります。