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公開日:2016.03.01 更新日:2020.05.224800view

漢方薬の名前と五行の関係 ~小青竜湯(しょうせいりゅうとう)・白虎湯(びゃっことう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.10

漢方薬の名前に色が入っているものをご存知ですか?
小青竜湯や白虎湯が有名ですが、なぜこのような名前がついているのか、五行との関連をご紹介しましょう。

青龍と白虎
青龍と白虎とくれば、四方を守護する神獣であることはよく知られていることです。青龍は東を守護し、白虎は西を守護しています。残り2つの方位、南は朱雀、北は玄武が守護しています。
たとえば、平安京の南にある門は「朱雀門」といいますし、高松塚古墳など高貴な人を祀った墓所には、四方に四神が描かれています。中央にある都や貴人を守る役目が四神にはあるのです。

五行配表
漢方は自然哲学が基礎となっています。陰陽論と五行説、この2つを聞いたことがあるでしょう。(ご存知ない方は以下のページをご覧ください。https://www.kampo-sodan.com/about_02
五行説は、自然にある「木火土金水(もっかどごんすい)」という5つの基本要素から万物は成り立っているという考え方で、関連するものを五行配当表にまとめています。


<五行配当表抜粋>
五行
五臓
五根
五色
五方中央西
五気湿
五季土用

中でも五色、五方、五気は、古代中国大陸で自然を観察した結果、このように並べられたと考えます。中国大陸の東には青い海が広がり、風が吹いています。南には赤い太陽が昇る、熱い地域が広がっています。西に進むと乾燥した白い砂漠が広がっていて、北には黒い雲に覆われた寒い大地が存在します。この五色と五方を四神と四方にあてはめているのです。

小青竜湯
小青竜湯は気管支炎や喘息、アレルギー性鼻炎や花粉症に効く漢方薬です。8つの生薬が協力して、肺に入り込んだ冷えを取り除き、体内にあふれている水を巡らせるので、冷えによって悪化するくしゃみや滝のように流れる鼻水や痰を解消します。
この働きは、木をこすり合わせて発生した火が水を発散させて、特に春先の風で引き起こされるくしゃみ・鼻水などの症状に効果があると考えます。だから小青竜湯という名前がついたのです。

白虎湯
白虎湯はのどの渇きやほてり、皮膚炎などに有効な漢方薬です。臨床では、糖尿病などでのどが渇き水分を欲しがるような人によく用いられます。4つの生薬で構成されているのですが、主役は石膏(せっこう)です。石膏は色が白く、乾燥したのどや皮膚に潤いを与える働きがあります。だから白虎湯という名前がついたのです。

他にも漢方薬には不思議な名前のものがたくさんあります。
次回はそんな漢方薬の名前をご紹介します。お楽しみに!

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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