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公開日:2015.11.01 更新日:2020.05.2261428view

髪は血の余り、補ってつややかに! ~四物湯(しもつとう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.6

古今東西、女性はツヤのあるたっぷりとした髪を維持するために、並々ならぬ努力をしてきました。
絶世の美女で知られるクレオパトラは、泥のパックをしてオリーヴオイルでツヤを出したといわれていますし、楊貴妃はライチを愛し、真珠の粉や手羽先、スッポン、ツバメの巣など、潤い成分たっぷりの食材をよく食べていたようです。

血と髪の関係
女性にとって髪は命ともいいますが、漢方では「髪は血余(けつよ)」といいます。

そもそも血(けつ)は、全身に栄養と潤いを与える液体で、美容に欠かせないツヤとハリのある肌や髪を作り出す源です。不足すると、肌の弾力は落ちてくすみ、髪はパサついて抜け毛や白髪が増えてきます。

例えば、出産時に大量の出血があって髪の毛が抜けてしまったという話や、食事抜きの無理なダイエットの結果、髪のツヤがなくなってしまったという話もよく聞きます。その他にも血は、目や爪、女性の月経・妊娠・出産、思考や記憶力などにも深く関わっています。元気に若々しく生きるためには欠かせないものなのです。

血を補うためには、まず良質な食事を十分にとることが大切です。その上で、漢方薬なども有効に活用するとよいでしょう。

血を養う四物湯(しもつとう)
血を養う代表処方が、四物湯(しもつとう)です。その名の通り、当帰・芍薬・川芎・地黄という4つの生薬で構成されています。四物湯を煎じると、少しセロリのような香りがする黒くて甘味のある液体になります。台湾ではかわいくボトリングされて、ドラッグストアやコンビニエンスストアに陳列されているそうです。<小林先生談>

四物湯をベースにした漢方薬はたくさんあります。有名なのは当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)で、婦人科の病院では最も多く処方されているものです。
最近、美容業界では四物湯が注目されていて、美容液や美容クリーム、育毛剤に四物湯エキスが入っていることもあります。「生薬配合」という表記があったら、ぜひ配合成分を確認してみてくださいね。四物湯がみつかるかもしれません。

髪を養う食材
中国や台湾では阿膠(あきょう)という生薬が、美容成分として有名です。これはロバの皮や骨などを煮詰めたコラーゲン成分です。先述の楊貴妃や、西太后も薬膳でよく摂り入れたといわれています。独特の苦みがあるのですが、美容スープやゼリーなどにも使われています。残念ながら、日本ではなかなか手に入りません。

薬膳では似類補類(にるいほるい)といって、似たものが同類を補うという考え方があります。
黒い髪の毛を養うには黒いものを摂るとよいわけです。黒豆、黒米、黒ごま、ひじき、昆布、わかめ、黒キクラゲなどがありますね。

私自身は生まれた時に頭はツルツル、3歳くらいになっても髪が細く薄かったので、心配した母親は毎日のように食卓に黒いものをのせたそうです。その甲斐あって人並みの髪の量は維持できているようですが、油断大敵!今も我が家の主食は黒いごはんです…

黒い食材はエイジングケアの食材でもあります。「最近髪が…」と思ったあなた、一緒に黒食の養生をしましょう!
次回は漢方の軟膏剤「紫雲膏」のお話です。お楽しみに!

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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