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公開日:2025.03.01 更新日:2025.03.01568view

生活習慣病と漢方・養生

プチ不調は自分でカイゼン Vol.71

検査結果は生活を見直すチャンス
自覚症状はないのに、健康診断で高血圧、血糖値、中性脂肪などの数値が高く、要観察と診断されたことがある人は多いのではないでしょうか。

生活習慣病を厚生労働省のHPでは、このように記載しています。
「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義することが適切であると考えられる。日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患、更に脳血管疾患や心疾患の危険因子となる動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症などはいずれも生活習慣病であるとされています。

日々の生活習慣を整えることが、病気の予防につながると考えることができますね。

では、漢方では、生活習慣病をどのようにとらえるのでしょうか?
漢方は検査数値を下げるのが目的ではなく、病証の改善や病因の除去によって結果的に数値が下がっていくということが根底になります。

生活習慣病になりやすい3タイプ

食事の不摂生(食積:しょくせき)は、血を汚し血行不良(瘀血:おけつ)を引き起こします。これが生活習慣病でいちばん多くみられる漢方での病証です。その要因としてストレス(気滞:ストレス)があります。この3タイプと特徴をまとめてみました。
どのタイプが当てはまるかチェックしてみましょう!


●食の乱れ:食積タイプ
□食事の時間が不規則
□脂・糖などが多い
□過食傾向で体重増加
□口渇、口臭、口苦
□胃もたれ、胃の張り、胸やけ

●血の滞り:瘀血タイプ
□下腹部痛、腰痛、肩こり
□運動不足
□顔色が悪い、シミ・あざが出やすい
□冷えのぼせ
□お腹周りが太る

●気の滞り:気滞タイプ
□多忙でストレスが多く、イライラや不安感
□便秘と下痢をくり返す
□食欲や睡眠の乱れ
□胸の張り、咽のつかえ
□体重の増減が激しい

タイプ別の簡単養生法と漢方薬
生活習慣(食事・運動・休養)の見直しはもちろんですが、習慣を変えるのはとても難しいことです。普段の生活の工夫や意識づけから初めてはいかがでしょうか?自分に合った漢方薬を服用しながら生活を改善していくのもおすすめです。

●食積タイプの養生
・睡眠時間+寝る前の時間で10時間以上は何も食べない時間をつくる
・過食しないようによく噛む。1口30回を目安にゆっくり食事をする
・いつ、どれぐらいの量をどういった順番で食べるかが大切。炭水化物は最後に、夜は少なめに、からはじめましょう
・おすすめ食材:キノコ類、こんにゃく、海藻類、根菜類、陳皮、サンザシ、パイナップル、キウイ、バナナ、プーアル茶、ルイボスティー

【代表的な漢方薬】
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
効能効果:体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症

●瘀血タイプの養生
・定期的に体を伸ばす動かす習慣を取り入れましょう
・冷え性を伴っている場合は、温飲、温食を意識しましょう
・入浴などで全体の血流を良くしましょう。下半身が冷えないように対策をします
・おすすめ食材:玉ねぎ、ニラ、ラッキョウ、生姜、青魚、黒豆、黒キクラゲ、酢、サンザシ、桃、紅花、ウコン、ルイボスティー

【代表的な漢方薬】
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
効能効果:体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:
月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭
痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症

●気滞タイプの養生
・緊張したら深呼吸をしましょう。吐く息を長くゆっくり呼吸します
・好きな香り、香味野菜をとり入れて気を巡らしましょう
・身体のリズムを整えるために朝は決まった時間に起きるようにしましょう
・おすすめ食材:春菊、セロリ、三つ葉、菊花、ミント、柑橘類、ラッキョウ、ライチ、キウイ、陳皮、ウコン、ジャスミンティー

【代表的な漢方薬】
大柴胡湯(だいさいことう)
効能効果:体力が充実して、脇腹からみぞおちにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症

※ここで紹介した漢方薬は、あくまでも代表的なものなので参考してください。実際利用する場合は、専門の方に相談してくださいね。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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