漢方ライフ読む(コラム一覧) > のどに効く響声破笛丸の使い方
公開日:2025.02.21 更新日:2025.02.22540view

のどに効く響声破笛丸の使い方

漢方薬のつぶやき vol.28

のどの不調に注目の漢方薬
感染症の流行により需要が高まる鎮咳薬や去痰薬。医薬品の供給が追いつかず、その影響あってか一般用漢方薬市場において、咳やのどに効く漢方薬の販売数が伸びていると聞きます。

たとえば、激しい咳に使われる麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)や五虎湯(ごことう)。のどの不調に用いる桔梗湯(ききょうとう)や響声破笛丸(きょうせいはてきがん)など。

桔梗湯は以前からよく見かける漢方薬ですが、響声破笛丸に関してはかつて漢方専門薬局でないとなかなか見ることのなかった処方。近年ドラッグストアで見つけたときは驚きました。いまでは葛根湯(かっこんとう)や銀翹散(ぎんぎょうさん)と同様、定番品のように陳列されています。

のどの不調に効くとして販売数が増えている響声破笛丸。できるだけ正しく使っていただくため、効能と活用についてお伝えします。

のどを酷使した声がれに

響声破笛丸の効能は「しわがれ声、咽喉不快」です。
いわゆる「声がれ」と、声のかすれから起こる「失声」に使われます。

ところで声がれといってもいろいろなものがあります。
カゼをひき、のどが炎症して声が出にくい。長引くカゼにより、のどが乾燥して声がかすれる。話す仕事やカラオケなどで、のどを酷使したことによる声がれ。
これらはそれぞれ、原因や状況によって適する漢方薬が異なります。

響声破笛丸は、声を使い過ぎて起こった声がれや失声に用います。
たとえば、司会・進行役や講師を務める、演説で大きな声を発する、歌や演劇で発声するなど、のどを酷使してしまったときです。
カゼや感染症、扁桃炎などによる急性の咽頭炎・咽喉痛は響声破笛丸の適用とは異なります。

スクールの生徒さんの中には、保育士をされていたときに声を発し過ぎてのどを痛め、響声破笛丸を服用したという方がいらっしゃいました。また、芸人としてお仕事をされている方が舞台の前後に響声破笛丸を服用していると話されていたことがあります。これらは正しい使い方です。

口の中に含み徐々に飲みこむ
生薬を粉末にして蜂蜜などの結合剤で丸めて作る剤型を「丸剤」といいます。この製法の処方名には「丸」とついていて、響声破笛丸もそのひとつ。

丸剤にするのは体内でゆっくりと溶けて持続的に作用させる目的があります。響声破笛丸においては本来、丸薬を口に含んで舐めながら、時間をかけてのどに作用させる服用方法をとります。

煎じ薬で服用する場合でも、煎じ液を一気に飲み込むのではなく、のどに浸み込ませるようなイメージで少しずつ徐々に飲み込むのが効果的。

市販されている響声破笛丸はエキス剤ですが、やはり水やぬるま湯に溶いてのどに浸透させるような感じで徐々に飲み込むのがおすすめの服用方法です。

のどの痛みや声がれは原因により適用する漢方薬が異なります。薬局・ドラッグストアではカゼのコーナーに陳列されている響声破笛丸ですが、効能を理解してより正しく使用していただきたいと思います。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ