漢方ライフ読む(コラム一覧) > 腰の緊張をゆるめてこころとからだを調和させる動養生~養動法
公開日:2025.01.07 更新日:2025.01.0869view

腰の緊張をゆるめてこころとからだを調和させる動養生~養動法

しなやかに巡るわたしになるためのからだの動かし方~動養生のポイント 最終回

気持ちをあらたに実践!心身統一法
年があらたまり、乙巳年を迎えました。年末年始はいかがお過ごしでしたか。ご家族や親戚、ご友人同士で集まって、美味しく食べたり飲んだりする時間は、特別なものとなったことでしょう。
普段は目の前にある、やるべきことをこなすので精一杯になりがちですが、正月休みでリフレッシュやリラックスができ、日頃いかに忙しい時間を送っているかということを実感した方もいらっしゃるかもしれません。
あらためて、この一年、あなたはどうありたいですか。

「忙しい状況が続いたりストレスのかかることが起きたりしても、心をなくすことなく肚を据え、平常心でいたい」
「胃や腸を整えてすっきり軽やかに過ごしたい」
「エネルギーや血の巡りをよくして元気でいたい」
これらに応えられる動養生法として、今回は「養動法」をご紹介します。

渦の話~いのちを整えるキーポイント
漢方の考え方に触れる時、必ず出てくるのが宇宙の根源をデザインした太極図です。ひとつの円に白と黒が勾玉のように配置された図で、陰陽の関係性がシンプルにわかりやすく示されており、陰陽図とも言います。

鳴門海峡の潮の流れは日本一の速さで、世界三大潮流とも言われるようですが、鳴門のうず潮を間近で見たとき、真っ先にこの太極図が頭に浮かびました。台風も渦であり、銀河も渦です。エネルギー同士がぶつかり合い混ざり合うところで発生する渦は、大きな宇宙のそこかしこに見つけることができます。
さらに頭部のつむじや指先の指紋など、人間という小さい宇宙の中にも渦を見つけることができます。

ヨガやアーユルヴェーダ、瞑想などで欠かすことのできない概念であるチャクラ。この言葉はサンスクリット語で「車輪」を意味する言葉です。くるくると回るエネルギーの渦なのですね。
赤ちゃんが誕生する際には、くるくると旋回しながらお母さんの産道を通ってこの世界に出てきます。植物が大地から芽を出す際にも、くるくると同じ動きが見られます。どうやら、渦を巻くという現象は、生命の営みの大切な場面で随時発生しているようです。
この渦が「養動法」の鍵になります。

おへそで「の」の字を描いてみよう
腰を中心にして水平に渦を描く養動法は、シンプルな動きで骨盤周りの緊張をとり、背骨が整って姿勢がよくなる、胃腸のはたらきが活性化して消化や便通がよくなる、胆力がつくなど、心身が整います。起床時や就寝前など、いつでもこまめに行うようにしてみましょう。

①あぐら、または正座します。その際、腰や膝がつらい方は、背もたれのないイスに腰掛けて行うのも結構です。正座かイスの場合、膝は肩幅に開きます。
②手は親指と人差し指で輪を作り、あとの指は交互に組んで(双輪の印)、太ももの上に置きます。あごを引いて背筋をのばし、お腹を少しつき出します。頭は上に引っ張られる感じにします。
③目を閉じ、身体の力を抜いて肩をストンと下げ、肛門を締めます。呼吸は自然に行います。
④始めは前後に、次に左右に身体をゆらします。動きがスムーズになってきたら、腰を中心に右回り(=時計回り)にゆっくりとまわします。前方向に意識を向けながら、お腹が前方にきたらぐっとつき出すようにします。頭や肩はあまり大きく動かさずに、腰を中心にしてまわします。

蛇がとぐろを巻くさまを思い浮かべてみてください。あれは、くるくると渦を巻く体勢をとることにより、全方向に気を配り、いかなる状況にも瞬時に対応することができる備えをしているのです。
2025年はちょうど巳年。年間テーマの一つに渦の動きを取り入れ、変化の大きい今の時代に、肚を据えて向き合っていただければと思います。

全6回でお届けしてきた動養生のポイントは今回が最終です。
お読みいただきありがとうございました!

関連ワード
ストレッチ 陰陽 動養生
林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ