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公開日:2024.12.01 更新日:2024.12.01550view

漢方救急箱と養生法~ゾクゾク寒気編

プチ不調は自分でカイゼン Vol.68

寒気と悪寒の違い
寒気とは、寒さに対する身体の反応で、「体が温まってほしい」と訴えている状態です。
冬の寒い天気や、夏のエアコンの使用、冷たい物の食べ過ぎ飲みすぎにより起こりやすくなります。一時的なものが多く、部屋を暖かくしたり、厚着をすることでおさまります。

それに対し、悪寒(おかん)とはウイルスや細菌などの外部からの侵入者に対して起こる身体の免疫反応の1つで、寒さには関係なく起こります。悪寒の場合は、いくら温めてもおさまらないのが寒気との違いです。

漢方では、風邪(ふうじゃ)が寒邪(かんじゃ)を引き連れて身体に侵入すると、寒気や悪寒が生じると考え、これを風寒といいます。
風寒の侵入経路は、後背部。
首の後ろ側になるので、アウターやマフラーでしっかり守りましょう!

風寒が侵入すると、体は悪寒と共にその侵入者と戦おうとします。
それが、節々の痛みや、頭痛、発熱です。
侵入した敵と戦う状態になると、汗はかかず無汗の状態になります。
一方、戦う状態ではない場合、汗が漏れる自汗(じかん)の状態になります。体力がない時ほど、ベタベタした嫌な汗をかいている時が多いですね。

寒気・悪寒の漢方薬
救急対応として、体表面に留まっている風寒を、温めて発散して追い出す対策をとります。
これを辛温解表(しんおんげひょう)といいます。
辛温解表の働きがある漢方薬を紹介します。

●桂枝湯(けいしとう)
効能効果:体力虚弱で、汗が出るものの次の症状:かぜの初期
→寒気・悪寒がして、自汗の時に使う漢方薬です。
 桂皮、芍薬、生姜、大棗、甘草の5種類の生薬で構成されいています。
 身体が弱っている状態なので、生姜湯やシナモンティで体を温め、お粥を食べて、無理をしない
で寝るのが1番になります。

●葛根湯(かっこんとう)
効能効果:体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み



→後背部のこりがあり、汗をかいていない状態の時に使います。桂枝湯に葛根と麻黄をプラスして7種類の生薬で構成されたものが葛根湯になります。
麻黄は発汗の働きが強いので、汗をかいているときは使いません。

●麻黄湯(まおうとう)
効能効果:体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体
のふしぶしが痛く汗が出ていないものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり

→汗をかいていない状態で、咳も気になるときに使います。
麻黄、桂皮、杏仁、甘草の4種類の生薬で構成されています。
インフルエンザににも有効とされ、医療の現場でも使われています。

救急箱対応のコツとしては、
・汗が出ている時に麻黄が入った漢方薬は使わない。
・発汗して追い出すので、麻黄が入った漢方薬を使う場合は体力がある状態が良い。
また、麻黄は交感神経興奮作用があるので、心臓が弱っている方や血圧が高い方には注意が必要になります。

※ここで紹介した漢方薬は、あくまでも代表的なものなので参考してください。実際利用する場合はきちんと相談してくださいね。

辛温解表で風寒対策

●生姜、ネギ、シソ、シナモン
辛温解表の働きがある食材は、桂枝湯にも使われている、生姜、シナモン。
他には、ネギやシソにも身体を温めて発散するはたらきがあります。

たっぷりのネギと生姜を入れたスープやうどん。
普段から、シソ茶や生姜湯を飲むことで、風邪対策にもなります。

●3首を冷やさない
首の後ろの後背部、手首、足首を3首といいます。
筋肉と脂肪がないので、寒邪の影響を受けやすい部位になります。冷えてからは遅いので、常に冷やさない工夫をしましょう。


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鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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