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公開日:2024.08.14 更新日:2024.08.14980view

夏は気づかず増えている?!目のトラブルと疲れ

漢方であなたを応援vol.29「夏の目の疲れ」

夏と目の関係は意外と深い…
かすみ目、ドライアイ、眼精疲労、視力低下など、日常生活で目に不調を覚える方は多くいらっしゃいます。これはパソコンやタブレット、スマートフォンなどの画面を長時間見るようになった弊害でもあります。
加えて眼病は、一年の中でも夏に増えやすいということをご存知でしたか?今回は夏と目のトラブル、目の疲れに対する養生を紹介しましょう。

夏の高温多湿が目に与える影響
漢方では、夏に不調をもたらすものを暑邪(しょじゃ)、湿邪(しつじゃ)と呼んでいます。
暑邪は蒸し暑く、太陽の強い日差しによる炎熱の症状を引き起こします。元気や潤いを消耗するのが特徴です。
・のぼせ、顔面紅潮、日焼け
・大量の発汗、口の渇き
・疲労倦怠感、熱中症

湿邪は梅雨の湿気をイメージしていただくのが早いでしょう。ジメジメして身体はべたつき重だるく、気分も落ち込みやすいのが特徴。特に胃腸トラブルも発生します。
・胃腸障害、食欲不振
・口の粘つき、汗のべたつき
・むくみ、関節の痛み

暑邪と湿邪が目に影響すると、目の表面を覆う粘膜がべたつき、炎熱の症状である炎症が悪化します。現代医学で表現すると、細菌が繁殖しやすいため、麦粒腫や結膜炎などの感染症が起こりやすくなります。
・目のかゆみ
・黄色の目やにが多く出る
・小さなできものや腫れが出る

夏の強い紫外線は、日焼け、髪のパサつきなど皮膚や髪にダメージを与えます。
実は目にも強い刺激が加わり、いつも以上にまぶしく感じ、疲れと乾きを感じやすくなります。帽子や日傘で直射日光は避けますが、サングラスなどで目を保護するのもよいでしょう。点眼液で目を潤すことも有効な手段のひとつです。

目の食養生と休養生
漢方の考え方では、血(けつ)が目に栄養を届けると考えます。血は身体の構成成分で、全身に栄養と潤いを与えるものです。血が充実することで、目の粘膜がしっとり潤い、視力も維持できると考えられています。さらに目で見たものを認識するのにも血が必要です。
目を守り、力を維持するために食事での養生と休養(ツボを含む)の養生を心がけましょう。

■赤色、黒色食材をとる
薬膳では血の色と似ている赤色、黒色の食材が目にも栄養を送ると考えます。レバーや鰹、クコの実、ベリー系のドライフルーツ、黒豆、黒ごまなど。
■目の炎症を鎮めるお茶を飲む
古くから菊花やハブ茶、カモミールが目の炎症を鎮めるために愛飲されてきました。クコの実と合わせると効力がアップします。
<応用例>
・冷凍ブルーベリーとクコの実のコンポート
・杞菊茶

■夜ふかし、夜間の目の酷使はやめよう
夜間に目を休めないと血を消耗し、日中の眼精疲労や視力低下につながります。日付が変わる前に就寝すること、寝る前にスマホなどを見ないことで目をいたわりましょう。
■太陽と睛明のツボで目を明らかに
目の周囲にあるツボは血行をよくして疲れ目やかすみ目などの解消に役立ちます。軽く4~5秒程度押して離す動作を3回ほど繰り返しましょう。
太陽(たいよう):こめかみのあたりで眉尻から親指幅1本ほど上の、少しくぼんだところ
睛明(せいめい):目頭の内側やや上方のくぼんだ部分
■アイマスクや小豆枕で軽く目をおさえる
夏の紫外線による目のトラブルはもちろん、パソコンやスマホなどの使い過ぎによる目の疲れにも活用できるので、日々意識して瞳の健康を守りましょう。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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