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公開日:2024.05.21 更新日:2024.07.011610view

痩せる漢方薬はありますか?

漢方薬のつぶやき vol.19

ダイエットするなら陽の季節
春夏は漢方薬局において、ダイエット相談が増える時期。
季節の陰陽と体の関係でみると、ダイエットに適した時期は陽の季節である春夏です。

エネルギーと栄養を蓄えて体づくりをする秋冬に対して、春夏は代謝が高まりエネルギーを消費しやすく、効果的かつ体に負担の少ないダイエットができます。

そこで、薬局やドラッグストアでよくある質問、「瘦せる漢方薬はありますか?」にお答えします。

太りやすさのタイプを知る
漢方ダイエットは生活養生と漢方薬を組み合わせます。

生活養生とは、食事の仕方、体の動かし方、休息のとり方、ストレスケアのこと。自分にあった養生をしつつ、必要に応じて漢方薬を使います。



ところで、太りやすさにはタイプがあることをご存じですか?
ダイエットに用いる漢方薬は多数ありますので、タイプに合わせて服用することが大切です。

太りやすさのタイプは大きく分けて4つ。

①気虚(ききょ)
②気滞(きたい)
③瘀血(おけつ)
④湿熱(しつねつ)


タイプごとに体質の特徴と代表的な漢方薬をみてみましょう。

気虚タイプと気滞タイプ
気虚タイプは、栄養不足で代謝が低下し、そんなに食べていないのに太るタイプ。疲れやい、胃腸が弱い、むくみやすい体質です。

虚弱ゆえに太りやすい、このタイプの代表的な漢方薬は、防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)。
疲れやすく、カゼをひきやすい、汗かき、体が重だるく、むくみのある人に適しています。

気滞タイプは、いわゆるストレス太り。イライラしやすい、ガスが溜まってお腹が張る、便秘、あるいは便秘と下痢を繰り返す体質です。生活は不規則で、緊張やストレスが強く、偏食や過食の傾向があります。

代表的な漢方薬は気を巡らせる効果のある、加味逍遙散(かみしょうようさん)。
情緒が不安定、不眠、頭痛、肩こり、便秘がち。女性では月経不順やPMS(月経前症候群)が起こりやすい体質です。

瘀血タイプと湿熱タイプ
瘀血タイプは、血行不良タイプともいえます。肌のくすみ、肌荒れ、冷えのぼせ、肩こりが起こりやすい体質。女性では月経痛が強く、月経時に血の塊がでることが多いです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が代表的な漢方薬です。
血の巡りを改善し、下半身の冷え、肩こり、目の下のクマ、ニキビ、腰痛、月経痛などに効果があります。

湿熱タイプは、脂っこいもの、甘いもの、お酒の摂りすぎといった飲食の不摂生が原因で太るタイプ。暑がりで汗かき、吹き出ものが多い、お腹周りに脂肪がつきやすい体質です。

ダイエットで有名な防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)がこのタイプの代表処方。
暑がり、便秘、湿疹、のぼせ、むくみ、腹部に皮下脂肪が多い人に使われます。
体力のある人向けの漢方薬です。疲れやすい人や胃腸虚弱の人は体に負担がかかりますので適しません。

痩せる漢方薬はあるのか?
この質問に対する回答は、「あります」。
ですが、漢方薬は「痩せ薬ではありません」。
気血水の不足を補い、滞りを解消するなどして、結果としてその人にとって適した体形・体重になります。

漢方ダイエットのメリットは、単に痩せることだけではありません。
疲れ、肌荒れ、冷え、むくみ、婦人科トラブル、生活習慣病などの気になる症状や体質を改善しながら、健康的にダイエットできることです。

そのためには、漢方薬だけでなく生活養生を実践すること、自分に合った漢方薬を使うことが大切です。
せっかくなら、心と体が元気になるダイエットを目指しましょう。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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