- 荒毛 克麻 - Katsuma Arake
[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。
むくみスッキリ薬膳ティー! 15-17時の過ごし方
漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.10
むくみやすいのは日本の気候が影響!?
「顔がパンパンにむくむ」「仕事が終わったあと足がむくんでだるい」「足がむくんで靴下の跡がくっきりついてしまう」
漢方薬局で相談を受けていると、程度の差はあれむくみのお悩みを訴える方が多く見られます。
むくみの原因はさまざまですが、原因の一つに暮らしている環境が関係することが挙げられます。
周囲を海に囲まれた日本で暮らす私たちは、湿度の高い気候の影響を受け、不要な湿気(水)が体に溜まりやすくなります。
日本人の約3人に1人がむくみに悩んでいるといわれます。
今回紹介する時間、「申(さる)の刻」(15~17時)は、漢方では五臓六腑の“膀胱(ぼうこう)”が担当する時間です。
この15時以降~夜にかけてむくんでくる!!という方も多いのではないでしょうか?
漢方の考えでは水分の代謝に関わる“腎と膀胱”が15時~17時を担当しているため、働きが弱っているとむくみやすくなります。
まずは今回は15-17時を担当している“膀胱“の働きと過ごし方を見ていきましょう。
漢方で考える膀胱の働き
●尿の貯留と排泄
漢方の考え方でみると、“腎と膀胱”は密接に関係して働いています。
“腎”は体の水分代謝を調整し、不要な水を尿にかえて“膀胱”に送る働き、“膀胱”は“腎”から送られた尿を溜めて排泄する働きがあります。
“腎”の働きが弱まり水分代謝が低下すると、不要な水が尿にならずに“膀胱”に送られないため“むくみ”になっていきます。
また、‟膀胱”の働きが低下すると、頻尿・残尿感・膀胱炎などの泌尿器系のトラブルが出ます。
● “膀胱”の気が通る経絡は、「足太陽膀胱経(あしたいようぼうこうけい)」といいます。
目頭から出発して頭頂部に上がったあと、後頭部を下方向に巡り、背中⇒腰⇒おしり⇒足のうしろ側から小指まで流れるとても長い経絡です。
“むくみ”に対してまず押さえておきたい膀胱経のポイントは、「背中・腰・足」です!
●膀胱の働きを高める15時~17時の過ごし方
①ティータイム
お茶は利尿効果があり、体内に溜まった水を出すのでむくみに最適です。この時間帯にティータイムをとりましょう!
②ストレッチ
同じ姿勢でいると背中や腰回りが凝り固まり、“膀胱経”の気の巡りが滞ります。背伸びや腰を回すストレッチを行いましょう」
③背中・腰・足は冷やさない
体温は朝は低く、夕方~夜にかけて高くなります。この時間に体を温めないのは勿体ないです!
ブランケットやカイロなどで温めましょう。むくみとともに冷えがある方は特にお勧めです。
“膀胱”の働きが高まることで、密接な関係にある“腎”の水分代謝も活発になります。
むくみが気になる方は、15時~17時のティータイムとストレッチをして背中と足腰を温め、嫌~なむくみを改善しましょう♪
ティータイムにおすすめ!の“むくみケア薬膳ティーのレシピ”をご紹介します。
むくみスッキリ薬膳ティー!
薬膳ティー(茶)とは、「薬膳」の考え方を踏まえて作られた飲み物のことで、中国では「薬茶」と呼びます。
お茶として使用するものは、植物の花・葉・茎・根、木の実・果実の種子類、茶葉、食薬(しょくやく)を使用したものなどと幅広いです。
「食薬」は、漢方薬としても食材としても用いられる素材のことで、高麗人参やなつめ、クコの実などがよく知られています!
食薬は苦味・渋味などのくせがあるものも多いですが、茶葉と組み合わせると、食薬のクセがうまく調和されて美味しく飲めます。
むくみスッキリ「黒豆ナツメティー」
黒豆:“血”“水”の巡りに良く、むくみに効果的です!滋養強壮、月経不順、腰痛、老化防止に
ナツメ:疲れやすい、気持ちの落ち込み、不眠、イライラなど、心身の疲れにいい食薬です。
【材料】
・なつめ(1個~2個)
・煎り黒豆(15g)
・熱湯(400cc)
【作り方】
①成分を抽出しやすくするため、煎り黒豆は軽く砕き、なつめは小さく刻みます。
②ティーポットもしくは大きめのマグカップに材料を入れ熱湯を注ぎ、蓋(もしくはラップ)をして10分ほど蒸らしたら完成!
★冷えが気になるときには、シナモンやショウガ、黒糖を、
★元気が欲しいときには、高麗人参やクコの実、蜂蜜をお好みで加えると更に効果アップ!
お茶として成分が出た後の黒豆、ナツメにも良い成分が残っています。余すことなく頂きましょう!
15時~17時のアフタヌーンティーで“むくみ”すっきり♪
薬日本堂監修書籍の『ちょい足し薬膳ドリンク』では、日常手に入りやすい食薬を中心に様々なアレンジを紹介しています。
自分に合った薬膳ティーで美味しく、楽しく体を整えていきましょう。
次回は酉の刻(17-19時)はエイジングを気にしている方必見です!
「イキイキとした人生は“腎精”がカギ!17-19時の過ごし方」
担当する腎経とその時間帯の過ごし方について語ります。お楽しみに。
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<共著>
- 原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]
1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。
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