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公開日:2022.11.25 更新日:2022.11.253285view

蜂の力で元気ハツラツ!ハチミツと露蜂房

漢方であなたを応援vol.8

潤い不足と冷えが招く抵抗力の低下
立冬を過ぎ、冬の寒さが増してきました。
朝起きた時に鼻やのどが乾燥している、外出時に冷えて咳が出るようなことはありませんか?
ここ数年のコロナ禍で習慣化されたマスク生活は、かぜの予防にも役立っていますが、冬は抵抗力が落ちやすい時期なので十分な注意が必要です。

鼻やのど、肌など外界に接している部分の潤いは、様々な刺激から身体を守るためにあります。体内の粘膜も同様。
冬の乾燥は守る力を弱めてしまうので、乾燥対策は重要ですね。

元気に過ごせている時は、身体を温める力や守る力が充実している時です。
冬の寒さは温める力を余分に使わせることで守る力を減弱させます。冷えが気になる方は、抵抗力も落ちやすいと考えましょう。

ハチミツで元気と潤い補充
乾燥と冷えが気になるこの時期におすすめなのがハチミツ。

ハチミツは胃腸を養って元気を補い、身体を潤す働きがあります。大腸も潤すので、便秘傾向の方にも有効です。
潤い食材や温め食材と合わせることでパワーアップするので、手軽な組み合わせから始めてみましょう。
ただし、免疫が十分でない1歳未満の乳児に使ってはいけないので、注意してください。

<クコの実入りハニーナッツ>
アーモンドやクルミ、カシューナッツとクコの実を瓶に入れ、ハチミツを注いで保存します。
シリアルやヨーグルトを食べる時に加えると食べ応えも増して、潤いと元気も補えます。
ナッツ類は植物性の油と食物繊維も豊富で、便秘気味の時にもおすすめ。中でもクルミは温める働きがあるので、冷えにもよいですよ。

<シトラスハニー>
ユズやカボス、レモンなどスライスした柑橘を瓶に入れ、ハチミツを注いで保存します。
漢方では「酸甘化陰(さんかんかいん)」といって、「酸味と甘味を合わせると潤いになる」と考えます。
お湯で割るなどして潤いを補いましょう。柑橘類の皮は温める働きがあるので、刻んでお茶に加えてもよいですね。

ハチの巣、露蜂房
ハチと言えば、漢方の古典『神農本草経(しんのうほんぞうけい)』には、露蜂房(ろほうぼう)といって、スズメバチ科アシナガバチの巣を使うという記述があります。
学生時代に「巣を採る時に刺されなかっただろうか…」など心配しながら読んだ覚えがあります。

露蜂房は、炎症や化膿、腫れがある時に使われていました。煎じたもので患部を洗ったり、粉末にしたものを内服したり。歯の痛みにうがいとして用いたり、鼻炎のようなものにも用いたとされています。

ハチの巣は現代でも応用されていますね。それがプロポリスです。
ミツバチは花から蜜を集めるだけでなく、植物の新芽や樹皮から樹脂を集め、蜜蝋と混ぜて巣の材料としています。この中の成分がプロポリスで、巣を守る働きがある、抗菌や防腐の効果があるということで注目されています。

今も昔も、人々は自然界にある様々な素材を健康に役立てています。
特に漢方では素材そのものの力に着目し、配合することで漢方薬や薬膳などに応用しています。
自然の恵みに感謝しつつ取り入れて、健康維持増進の一助にしてみましょう。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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