- 荒毛 克麻 - Katsuma Arake
[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。
元気はつらつな朝に! 7~9時の過ごし方
漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.6
朝の不調の原因は”胃”にあり!?
「朝から元気が出ない…」
「睡眠をとっているはずなのに、朝から疲れている」
「朝が苦手で、顔色が悪いとよく言われる」
漢方薬局で働いていると、毎日のように疲れのお悩みで相談を受けます。
それもそのはず、全国10万人を対象に「日本の疲労状況」を調査した結果では、20代・30代のとくに女性の方は5割以上が日々疲れを感じている結果が出ています。
(出典:一般社団法人日本リカバリー協会調査結果 )
疲れを解消し、元気を生み出す鍵は、ずばり“食事”にあります!
食事の内容はもちろんのこと、胃が働きやすい適正な時間帯に食事をすることで、気(エネルギー)を作り出すことができます。
今回ご紹介する、「辰(たつ)の刻(7-9時)」は、“胃”に気が集中する時間帯。
漢方的に見ると、朝のだるさとお疲れは、“胃”の元気不足かもしれません。
漢方で考える“胃”の働きをみていきましょう!
漢方で考える胃の働き
“胃”の働きは3つあります。
①受納(じゅのう):口から入った飲食物を受け入れる
②腐熟(ふじゅく):飲食物の最初の消化
③降濁(こうだく):消化した飲食物を小腸に移動させ次の消化に繋げる
胃は食べ物を受け入れて、“小腸”などと連携を取りながら消化活動が進みます。
“胃”の働きが弱ると
●食欲がない
●胃痛、吐き気、嘔吐
●消化不良
などの症状があらわれます。
胃の働きを活かす辰の刻(7-9時)の過ごし方
①朝食を摂る
胃に気が集まる時間に、食事をしないのは元気不足に繋がります。
②よく噛む!消化の良いものを食べる
胃に負荷をかけないように、ひと口30回以上噛んで食べるのが理想です。
③冷たいものNG
胃を冷やすのは厳禁!冷たいスムージーよりは、味噌汁やスープがおすすめ
過去のコラムvol2〜vol4で、「夜は食べ過ぎ注意!」とお伝えしてきました。
辰の刻(7-9時)を担当する“胃”を働かせるために、夜は食事量を控えることが大切です。
とはいえ、忙しくて朝は食事を抜いている方、夜にがっつり食べてしまう方も多いと思います。
元気はつらつな“胃”のために、「簡単薬膳朝粥」をおすすめします!
これなら簡単!スープジャーで薬膳朝粥
「炊飯器やお鍋は使いたくない…」「1人分だけ作るのは難しい…」
という方に、毎日でも続けられるスープジャーを使ったお手軽レシピです。
〈材料〉
●500mlのスープジャー使用 約1-1.5人前
白米……大さじ3~4
熱湯……500ml(スープジャー1杯分)
昆布…10〜20g (だしは貝柱やかつお節などお好みでOK)
塩……少々
和漢食材……お好みで
〈作り方〉
1. スープジャーに白米を入れてジャーいっぱいに、熱湯を注ぎ、菜箸で混ぜたら、蓋をのせて2~3分温めます。
2. ≪出汁作り≫昆布を水に30分浸します。昆布と戻し汁を鍋に入れ、沸騰したら弱火にして1分加熱します。
3. スープジャーのお湯だけを捨てて、お好みで和漢食材を入れます。
4. 2で作った熱々の昆布出汁をジャーに注ぎます。軽く混ぜたらしっかり蓋を閉め3〜4時間置いておきましょう。
5. 食べる時に、お好みで塩を加えます。(梅干しや味噌で塩味を足しても美味!)
【和漢食材】
・胃腸が弱っている…高麗人参、みかんの果皮
・肌に潤いが欲しい…松の実、百合根
・女性の味方!…クコの実、ナツメ
曹洞宗の開祖道元が食事作法を記した『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』には、「粥有十利(しゅうゆうじり)」というお粥を食べる10のメリットが書かれています。
【1】色(血色を良くする) 【2】力(力がみなぎる)
【3】寿(寿命を延ばす) 【4】楽(食べ過ぎず体が楽になる)
【5】詞清辯(言葉がはっきりする) 【6】宿食除(胸やけが治る)
【7】風除(風邪をひかない) 【8】飢消(飢えを無くす)
【9】渇消(のどの渇きを癒す) 【10】大小便調適(便通が良くなる)
良いことづくめですね!夜寝る前にスープジャーに仕込んでおくと、朝7時に朝粥が食べれますよ。
次回は、日中活発に働きたい方、ダイエットなど代謝アップをしたい方に!
「悩み過ぎは禁物!9-11時の過ごし方」
巳の刻(9-11時)の担当である脾経とその時間帯の過ごし方について語ります。
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<共著>
- 原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]
1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。
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