- 荒毛 克麻 - Katsuma Arake
[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。
毎朝すっきり快便!5~7時の過ごし方
漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.5
便秘の歴史はとっても長い!
人類が便秘の悩みを感じるようになったのはいつ頃からかご存知ですか?
なんと!紀元前1万年前にまで遡ります!
狩猟生活から農耕生活へと変化し、安定した定住生活を始めたことから運動量が格段に減り、便秘になったと言われています。
便秘薬の歴史も古く、中国では大黄(だいおう)という生薬、古代エジプトでは大麦を乾燥し焼いたもの、古代マケドニアではアロエ、ヨーロッパではセンナを便秘薬として使っていました。
人類と便秘の攻防戦は、人種を問わない長い闘いだということがわかります。
(出典:うんこの博物学―糞尿から見る人類の文化と歴史 著デッケルス,ミダス、くすりの歴史 著石坂哲夫)
さらに現代の私達の生活を見てみると、「食生活の変化」「運動不足」「ストレス」が重なり、古代の人々よりも状況は深刻かもしれませんね。
壮大な話になってきましたが、古くからの漢方の智慧を使って、“いい排便習慣”を身に付けていきましょう!
排便と関係する“大腸”は体内時計では「卯(う)の刻」(5-7時)が該当します。
まずは漢方で考える“大腸”の働きを見ていきましょう!
漢方で考える大腸の働き
漢方で考える“大腸”の働きは
●大便・伝導を主る(つかさどる)
食べ物を消化吸収した後の残渣から余分な水分を吸収し、糞便を作って肛門から体外に排泄する働きです。
大腸の機能が失調すると便秘、下痢、残便感、下腹部の痛みや張りなどの症状があらわれます。
●肺と大腸は表裏関係
漢方では「肺と大腸は経絡でつながる表裏関係」
といわれ、肺の気と水を大腸に届けることで大腸から便を排泄するはたらきを促しています。
“肺”と“大腸”のつながりが不調になると、次のようなことが起こります。
□風邪・アレルギー症状があるときに便秘をする
□呼吸器系や皮膚のトラブルがある方は、便秘や下痢など大腸の不調がある。
快便・快腸のための過ごし方のポイント
●適度な運動は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促します
●寝る前・夜の飲食は控えめにすることで、寝ている間に胃腸を休ませることができます
●腸は乾燥するのが大敵!寝る前・寝起きのコップ一杯の水分補給を
●便意は無くても、朝にトイレに行く習慣をつけましょう
より良い排便習慣のための方法として、大腸を整える「腸もみ」を紹介します。
すっきり腸もみ養生法
“大腸”の気が通る経絡は、「手陽明大腸経(てようめいだいちょうけい)」といいます。
手の人差し指からはじまり、腕の外側、親指側の線に沿って肘、肩関節を通って上り、首の付け根の骨(第七頸椎)の位置で左右の経絡が交わり、そこから前へ。鎖骨の位置から下に下って“肺”と絡み、横隔膜を貫き、おへその左右で“大腸”に纏わります。
また鎖骨のところから上に上がるルートもあり、鼻の脇で止まって、次の経絡に繋がります。
「腸もみ」は、外から刺激をあたえることで、腸の動きを正常に整えるので、すっきりと排便したい!方におすすめの健康法です。
【すっきり腸もみ養生法のやり方】
①腸をマッサージする前に、大腸経の始まりである手を温めます。
お湯で温めたり、両手をこすり合わせて温めてもOK!
②仰向けに寝て膝を立て、おへそのまわりを時計回りに3周、両手のひらでゆっくり押していきます。
③次に、両手の親指以外の4本の指を重ねて気持ち良く感じるくらいの強さで、下腹部を時計回りにマッサージしましょう。
※もみこんだり、押したまま振動させるように刺激を与えてもGOOD!
④最後に、深呼吸しながら腸全体を5周ゆっくり優しくさすって終了です。
時間帯としては、卯の刻(5-7時)に大腸を起こすマッサージとして行うのがおすすめです。
なかなか朝に時間を取れない場合には、入浴後の体が温まってリラックスしている夜に行うのもいいでしょう。
健康を目指すうえで、避けては通れない腸のケア。
“大腸”が担当する卯の刻(5-7時)に「腸もみ」をして、すっきり排便習慣を目指していきましょう!
次回は朝にエンジンがかかりにくい方におすすめ
「元気はつらつな朝に!7~9時の過ごし方」
辰の刻(7~9時)の担当である胃経とその時間帯の過ごし方について語ります。
お楽しみに!
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<共著>
- 原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]
1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。
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