- 鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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ストレスと月経トラブル~女性と漢方養生②
プチ不調は自分でカイゼン Vol.26
ホルモンバランスの乱れは防衛反応!?
私たちの体は、危険にさらされると生命を守ろうとする防衛機能が働きます。
昔であれば、獣に襲われたときに全力で戦ったり、逃げ出したりして体制を整える本能です。
現代においてもこの防衛本能は残っており、極度の緊張やストレスにさらされると、身体を守るために防衛機能が働きます。
この影響をとても受けやすいのが‟子宮“です。
危険にさらされると、生命維持に必要な臓器や機能を最優先で守ります。
「今は、妊娠している場合ではない」
と体が判断して、女性ホルモンを減らしたり、生理を一時的に止めたりするわけです。
「仕事や治療をやめてみたら生理が正常になった」
という事例は、防衛機能が緩んだ影響も考えられます。
また、現代女性が体調を壊しやすいもう一つの理由としては、生涯生理回数が増えていることも挙げられます。
戦前の女性と比べて、現代女性の生理回数は、約4倍に増えているため、子宮はお疲れモードになりやすいのです。
参考)生涯生理回数とは
戦前と現代の女性の生涯生理回数は以下のように考えられています。
戦前 14歳で初潮を迎え、6人の子供を出産した場合(生理周期30日)約110回
現代 12歳で初潮を迎え、2人の子供を出産した場合(生理周期28日)約440回
子宮や卵巣は、脳の視床下部からの指令で働きます。
視床下部は、自律神経系やホルモン系の中枢のため、働きが低下すると卵巣や子宮の機能も弱り、子宮力が低下してしまいます。
視床下部の働きを悪くする大きな原因は、ストレスです。
ストレスは、自律神経の中でも交感神経を刺激するため、血管を収縮させて血行を妨げ、冷えも生じさせてしまします。それによって、ホルモン分泌も悪くなってしまうのです。
漢方では、この一連の働きを五臓の「肝」が担っていると考えます。
「女性の先天は肝」と言われるほどに肝の養生が大切になります。
肝を調える簡単養生法
●良く寝る
身体は寝ている間に、リセット機能が働きます。
ストレスを軽減し、ホルモンバランスを整えるためには良く寝る事!
理想は10時、遅くとも12時までには布団に入り、身体を休めましょう。
●感情の調整
肝が乱れると、強い口調で良くしゃべるようになります。
さらには、感情が高ぶり眠れなくなることも。菊花茶やミント、桑の葉、ハブ茶、グレープフルーツ、セロリ、などがおススメです。
また、足の甲側で、親指と人差し指の間を足首の方にたどっていったくぼみが、太衝(たいしょう)のツボです。ここを指で押すと肝が整います。
●リズム運動でメンタル強化
ダンスやウォーキング、ジョギング、踏み台のステップ運動など、決まったリズムで動く運動は、肝を調えます。
深呼吸をする、ガムを噛む、毎朝決まった時間に起きる、なども簡単に出来るリズムもいいですね。
女性の味方、金針菜(きんしんさい)!
金針菜は、ユリ科に属する植物の花の蕾です。
諸説ありますが、心配事をすべて忘れてしまうほど美しい花を咲かすことから、「忘憂草(ぼうゆうそう)」とも呼ばれています。
生ではなく、乾燥したものを活用します。
ぬるま湯(水でも可)で戻し、適当な大きさに切ってもらえば、いろいろな料理に使えますよ。
はたらきは、利水、平肝、清熱、止血、補血、解毒など。
・ストレスを受け、緊張しやすく憂鬱にもなりやすい
・むくみやすく雨の日は調子が悪い
・夏バテになりやすく眠りが浅い
・めまいが起きやすい貧血傾向
などの方におススメです。
効果が実感できるかどうかは個人差がありますが、気軽に楽しく取り入れやすい薬膳素材です。
次回、7月1日のコラムでは、冷えと月経トラブル~女性と漢方養生③について書きます。
お楽しみに!
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