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公開日:2021.05.25 更新日:2021.07.214284view

「舌に歯の痕がついている」ときの体質・体調

舌は口ほどに物を言う ~舌診の話 Vol.3

たくさんいる、“ハカタ”さん
舌診のセミナーでは、まず受講生の方々に自分の舌を観察していただきます。
そして気づくことや気になることを尋ねると、「歯の痕(あと)がついている」と言う人が多いのですが、皆さんの舌はいかがですか?

舌は口ほどに物を言う。舌の縁や先端に歯の痕がついている“ハカタ”さんはどのような体質・体調なのでしょうか。

“ハカタ”さんは、気不足と水分代謝不良
“ハカタ”さんの体質・体調の特徴は、「気不足と水の滞り」です。
漢方では、私たちの身体は「気血水」で出来ていると考えます。

気とは、身体を動かし、温め、防御し、様々な生理機能を営むもととなるエネルギーです。
舌に歯の痕がついている状態は、気不足であることを示し、併せて舌がぽってりとして大きいのは、水の滞りがあると言えます。

「気不足、水の滞り」とは、具体的にはどのような体質・体調なのか?イメージしてみましょう。

6月のある日の“ハカタ”さん
“ハカタ”さん、女性、32歳、顔色は白く、筋肉が柔らかい感じ。
ゆっくりした動きで、声は小さめです。
日頃の体調について、梅雨時期の“ハカタ”さんの様子です。もともと朝が苦手ですっきり起きられません。とくに湿度の高い季節は、起床時から身体が重くてだるいです。

洗面台へ行き鏡で舌を見ると、舌の色は白っぽく、大きめで厚みがあり、歯の痕がついています。顔がむくみ気味のことも。この時期は食欲がおちるので、朝食は抜くか、果物とヨーグルトなど簡単に済ませることが多いです。

子供の頃から乗り物酔いしやすく、特に雨の日や梅雨時期は、通勤の電車で気持ちが悪くなり、吐き気やめまいを感じます。

寒がりで、夏でも電車や職場のエアコンでカゼをひいたり、お腹をこわすことがあり、ひざ掛けやストールが年中手放せません。

体力がなく、すぐ疲れます。午前中の仕事を頑張り、お昼休憩で一息ついても、昼食後は眠けが襲い身体がだるくなります。

夕方は、足がむくんで靴がきつく感じます。帰宅する頃には、電池切れのようにぐったりして、毎日使っている階段なのに息切れします。
梅雨時期の“ハカタ“さん、なんだか大変そうですね。

「歯の痕がついている舌」が示す「気不足、水の滞り」の具体的な体調を、少し大袈裟に表現してみました。

そして、“ハカタ”さんの原因をさらに掘り下げると、胃腸虚弱が見えてきます。
これについては次回お話しします。





飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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