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公開日:2020.10.01 更新日:2023.12.069270view

涼しくなってきたのに眠れない!?~秋バテ対応法~

プチ不調は自分でカイゼン Vol.18

疲れているのにぐっすり眠れない!
ジメジメした猛暑が過ぎ、クーラーをつけなくても過ごせる時期が来たことで快適に眠れると思いきや、眠れないと感じる方がこの時期多くなります。

眠れないと言っても、
・寝つきが悪い
・眠りが浅く何度も目が覚める
・イライラして眠れない
・寝ているのに寝た気がしない
・疲れているのに目がさえる
などタイプは様々です。

この時期の不眠は、秋バテの一つと考えることができます。
夏の暑さで気血が消耗し、そこに朝晩の涼しさと乾燥が身体に影響すると、疲れてだるいのに眠れないという症状につながっていきます。
漢方では、身体を構成している陰液(いんえき)、特に血(けつ)が充実していれば精神が安定すると考えます。

快眠を得るためには、気血を補い、土台を作り良質な潤いをチャージすることが大切になります。

よく使う漢方薬2処方をご紹介します。

酸棗仁湯(さんそうにんとう)
体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの次の諸症:
[不眠症][神経症]

加味帰脾湯(かみきひとう)
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:
[貧血][不眠症][精神不安][神経症]

※ここで紹介した漢方薬は、あくまでも代表的なものなので参考までにご覧ください。
 実際利用する場合は、専門の方に相談してくださいね。

ぐっすり快眠養生法
陽の季節(春夏)から陰の季節(秋冬)へ移行するこの時期は、他にも蕁麻疹、膀胱炎、のどのイガイガ、肌荒れ、鼻炎、コロコロ便秘などの症状で悩んでいる方が多いようです。
いずれも、季節の変化に身体がついてきていないために出ている症状です。

生活に取り入れやすい簡単養生法を紹介します。

●旬のエネルギー食材を積極的に摂る
夏の消耗を補うのに、旬の食材は最適です!
特に、さつまいも、山芋、里芋、ぶどう、りんご、秋かつお、さけ、さば、さんま、などはエネルギーチャージ食材なのでおススメです。

●入浴で快眠スイッチ
就寝する1時間半~2時間前に湯船に入りましょう。
15分ぐらい好きな香りの入浴剤を入れゆっくり入るのをおススメします。入浴することで身体の芯を温め、入浴後の発汗で表皮の熱を追い出します。入浴後は、ストレッチをしてからだをほぐしておきましょう。出来るだけスマホやテレビは見ないで過ごします。入眠がスムーズになり、深い眠りにつきやすくなりますよ。

●朝に快眠対策
朝日を浴びましょう。
また、朝のお味噌汁をおススメします。メラトニンという睡眠ホルモンが16時間後に働き快眠をサポートします。

●安神作用のある食材をとりましょう。
安神とは、精神が安定すること。
霊芝(れいし)、高麗人参、ナツメ、竜眼肉(りゅうがんにく)、金針菜(きんしんさい)
ハスの実・百合根などは安神の働きがあると言われています。

ハスの実・百合根で快眠対策
今回は、ハスの実・百合根を紹介します。

ハスの実は、固渋薬(こじゅうやく)とされ、漏れている体液を止める働きがあります。
下痢や頻尿、尿漏れ、不正出血などで使います。

百合根は、補陰薬(ほいんやく)とされ、身体に潤いを与える働きがあります。
乾燥からくる咳や慢性の咳、ほてりなどで使います。

どちらも五臓六腑の『心』(しん)にはたらきかけるので、不眠や動悸、精神不安に良く、こころを整える食材としておススメです。

茶碗蒸しやスープ、デザートなどいろいろ活用できますね。
ハスの実と百合根を入れたお粥などはどうでしょう。
クコの実をトッピングして、ほっこり潤い癒し粥に!

比較的手に入りやすい素材です。是非お試しください。


動画でも!「夏バテから秋バテへ~季節の変わり目対応法」



鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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