漢方ライフ読む(コラム一覧) > 食事と免疫力~夏にオススメ!腸を調える『ラッシー』
公開日:2020.07.15 更新日:2020.07.176466view

食事と免疫力~夏にオススメ!腸を調える『ラッシー』

アーユルヴェーダ:古代の英知がもたらす養生術 vol.1

健康への第一歩、食事法の秘訣

COVID-19の流行で、『免疫力を上げる』という言葉を最近よく耳にするようになりました。未だ特効薬がないこの時期、感染症に罹りにくい体、り患しても重症化しにくい体になるために、免疫力を上げることが大切です。
免役力を上げる一般的な方法としては『食事・睡眠・運動・生体リズムを調えること』が挙げられています。今回は、この中の『食事』について、アーユルヴェーダの観点からお話したいと思います。

アーユルヴェーダでは、食事から『オージャス』が生成されると言います。『オージャス』は『活力素』と訳されることが多く、この『オージャス』こそが、免疫力を高め、体力を維持・増進し、心身を強くし、回復力をもたらすものなのです。だからこそ、免疫力を高めるために食事は大切であり、古典書には、食事について多くの記述があります。その中から、この『オージャス』を増やす食事法についてお話します。
最後にアーユルヴェーダの智慧、ラッシーも紹介しましょう!

〈インドの田舎のラッシー屋さん〉

『オージャス』を増やす食事法とは

食事法というと、「何を食べれば体に良いのですか?」という質問を受けることがあります。アーユルヴェーダには、万人に良い食べ物はありません。同じものを食べても、それを食べた人の体質によって、その働き方が違いますので、良くない反応が表れる人もいます。

例えば、COVID-19の流行が始まった時、納豆を食べていれば良いということで、納豆が売り切れる、ということがありました。アーユルヴェーダでは、納豆のような発酵食品を勧められる人と控えた方が良い人がいます。ここでは、「何を食べるか?」ではなく、『オージャス』を増やす重要な機能(ポイント)についてお話します。

① 大切なのは『消化力』
食物により身体は造られます。アーユルヴェーダでは、食物が消化すると、7つの組織が順番に生成され、それによって身体は構成されると考えます。そして、その最終段階で『オージャス』が生成されます。

アーユルヴェーダでは、消化力を『アグニ』と呼びます。この『アグニ』は『火』という意味で『消化の火』と呼ばれ、消化と代謝を担っています。『アグニ』は体内に13種類あります。胃酸や膵液などの消化液が『アグニ』に相当します。この『アグニ』が機能すれば、食物がきちんと消化し代謝が行われ、身体は強くなり健康を維持できます。

反対に、消化力が弱く消化しきれなかったものは、未消化物として体内に残り、血流などで全身を巡り、弱い部分でつまりを作り、それが不調や病気、老化の原因になるのです。いくら栄養がある食物を食べたとしても、消化力が弱ければ未消化物という体内のゴミになってしまい、健康が脅かされます。食べた物を十分に消化するためには、適切に働く消化力が大事です。
ちなみに、一日のうちで『アグニ』が一番強くなっているのは昼間です。昼ご飯をしっかりとることがポイントです。消化力の弱い朝晩は、軽い食事を摂るように心がけましょう。

② 適量を食べる
それでは、消化力を強くする食事法の中から一つご紹介しましょう。
古典書には『適量を食べるべきである』とあります。そして、その適量とは、腹3/4~2/3です。
火が燃えるには空気が必要です。消化はこれと同じで、消化の火が燃える為の空間が必要ということです。
適量かどうかの目安は、次の食事までの間にきちんと消化され、お腹が空く量です。また、食後にお腹に圧迫感がなく、脇が張らず、空腹と喉の渇きがおさまる量です。

お腹の調子を整える『ラッシー』

夏は消化力が弱まる季節です。料理で消化力を強くするスパイスやハーブを使い、消化力を改善することができます。そこで、今回は、スパイスを使ったヨーグルトドリンク『ラッシー』をご紹介します。

◇材料 4人分
プレーンヨーグルト 2カップ
水         2~4カップ
カルダモンパウダー 小さじ1/4(シナモンパウダーでもよい)
蜂蜜        好みの量(砂糖でもよい)
〈作り方〉
① 材料全部をボールに入れて泡立て器で攪拌する     
② ①をグラスに注ぎ出来上がり
※氷は入れない!!

ヨーグルトは酸味で、ピッタ(火のエネルギー)を増やすので、通常は夏に勧められないのですが、お水を同量以上加えることでピッタの増加を防ぎます。「お腹がゴロゴロする」「お腹が張って苦しい」「ガスが多い」という方にお勧めです。


藤井 早苗
藤井 早苗 -Sanae Fujii-

『あたまから元気!』『ヘッド・リラクゼーション』等の著者、パティル・シーマ氏に師事。渡印を重ねアーユルヴェーダの知識、技術を学ぶ。現在は、おうちサロン『アーユルヴェーディックサロンあーと』を開き、仙台を拠点にアーユルヴェーダやヨーガセラピーの普及をしている。また、ハーブやスパイスを使った手軽にできる、美容・健康法のワークショップ・講座も行っています。

HP:http://ato8ayurveda.web.fc2.com/

FB:https://www.facebook.com/ato8ayurveda

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ