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公開日:2020.03.19 更新日:2020.05.0113694view

漢方で見る感染症対策Vol.1 家でできる予防法

新型コロナウイルスについての皆さんの不安な気持ちを受け止め、感染したらどんな薬で治療できるか?予防は?養生は?などについて、今知っておきたいことを、これから毎週木曜日に連載していきます。

新型コロナウイルスは、いつ、どこで発生し、今後どうなるのかなど、正体がまだ解明されてない中で、中国では感染者が回復に向かい、退院できるようになったため、臨時に建設された病院が3月10日に閉院となりました。そして、社会生活が少しずつ戻り始めました。

早期に回復へ向かった原因の一つは、中医学と中薬(漢方薬)を活かしたこと。大規模な感染症や伝染病の記録は約2000年前から既に存在しており、2003年のSARS流行の際には漢方薬を使用したことが回復を早めたため、この経験が今回に活かされました。

予防するには
マスクの着用、徹底した手洗い、充分な睡眠とバランスの良い食事、それに規則正しいリズムで生活することです。

今後、様々な新しいウイルス性の疾患やインフルエンザが流行しても、不安な気持ちを取り除くために正しい知識を持ち、必要に応じて漢方薬を使う、そして養生の技をしっかり身につけておけば怖いものなしです!

さて、熱が出たら4日間自宅で待機するというのが日本の規定ですが、その間に家族に感染したらどうなるの?と心配ですよね?!今回は、中国の病院でも空間の消毒に使われていた中医学の手法を紹介します。どんなことだと思いますか?

それは、お灸に使われる艾(よもぎ)で作ったもぐさを燃やして、その煙の殺菌効果で消毒すること。中国では古くからおこなわれています。広東省中医医院の記事によると、もぐさを紙で巻いたもの(以下棒灸)に火をつけて2~3日に一度、30~60分、密閉した部屋の中に置くだけ。病院では1㎡あたり1gを燃やすと効果があるとされています。

ただし、私たちが実際にやってみる場合にはいくつか注意が必要です。病院とは広さが違いますし、もぐさを燃やすとかなり煙が出るうえに、煙に独特の匂いがあります。煙や匂いが気になるようでしたら、棒灸の量や燃やす頻度を調整してください。火事にならないように気をつけて、スプリンクラーが煙を感知しない程度に行いましょう。終わったら換気をすること。感染者の有無などの状況にもよりますが、一回15分程度、一日1回が目安です。合わないと感じたらすぐにお止めくださいね。

また、今回の新型コロナウイルスの感染者は、中国の情報では高齢者が多く、また持病(糖尿病など)のある方が重症になる傾向があります。簡単に言えば「弱っている人がウイルスに狙われた」ということ。
冷えて、弱っている人には、「補気薬(元気をつける、抵抗力を上げる)」の高麗人参、黄耆、山薬、霊芝、大棗、甘草、冬虫夏草などが良いとされ、これらの生薬が配合された漢方薬には「人参養栄湯」「補中益気湯」「六君子湯」「帰脾湯」などがあります。

生活に気をつけて養生し、弱い体質を改善すれば怖いものなし。

今回の新型コロナウイルスは弱っている人が狙われていると書きましたが、実は胃腸が弱い人と冷えている人も「対象者」です!次回は「酢による消毒と胃腸の強化」をお届けします。ぜひご覧ください!
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リュウ・メイ
劉 梅 – Mei Ryu[中医師]

中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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