- 小林 香里 - Kaori Kobayashi
[ 国際中医師,国際中医薬膳師,登録販売者 ]
20代の頃、過労とストレスで身体をこわしたことをきっかけに、北京中医大学日本校にて中医学や薬膳を学び始める。2005年、薬日本堂(株)に入社。店舗での漢方相談をはじめ、取材対応や薬膳レシピ監修、漢方スクール講師を務める。2017年10月退社の後、目黒区自由が丘に漢方薬店と鍼灸院を併設する漢方・鍼灸「和氣香風」を設立。自店にて漢方相談を行う傍ら、薬日本堂漢方スクールでも講師として活動。
漢方鍼灸和氣香風HP:kakikofu.com
小林香里個人ブログ :kaori-kampo.seesaa.net
インスタグラム :kaori_kampo
梅雨時季は「甘味」の取り方に気を付けて過ごそう
ちょい足し薬膳ドリンク VOL.5
甘味だけでは胃腸の元気(脾気)は補えない!?
さあ、梅雨の始まりです。
漢方や薬膳を学ぶと、梅雨は湿邪(しつじゃ)の季節と習います。
季節特有の外気が身体に不調をもたらすと、それはたちまち邪気として扱われます。
例えば、雨天や低気圧、梅雨時季に身体がだる~くなる人にとって、湿は湿邪になります。
雨だろうが、梅雨だろうが関係がなく元気な人にとっては、単なる湿、湿気が多いなぁという認識に過ぎません。
漢方では、人は常に自然の影響を受けていて、
苦手な季節には関連する五臓の働きが弱いのかもしれないと考えます。
中でも、五臓の脾は湿が大の苦手。ですから、湿度の高い時季に調子を崩す人は、脾が弱いととらえることができます。
漢方や薬膳では、脾を元気にするには滋養強壮の働きがある「甘味」が必要と教わります。
脾は主に消化吸収の働きを担当し、食べたもの、飲んだものから気血水を作る場所。
疲れた時に甘味が欲しくなるのは、消耗した気血を補うためでもあります。
ですので、脾を元気にすると称して、なつめやかぼちゃを使った料理は薬膳としてよく見られます。
ここで注意をしたいのは甘味の取り方です。
甘味は元気を付けるのに必要ですが、同時に「停滞を招く」ということを忘れてはなりません。
水はけが悪いところへ甘味が入ると、よりむくんだり、重だるくなることも多いのです。
加えて、甘味と一緒に酸味を取るのも注意したいところです。
漢方では酸味と甘味を一緒に取ると潤いに変わると考えるので、むくんで停滞している身体にはちょっと待てということになります。
シソの辛味で体内を除湿しよう
甘味と一緒に取ると良いのは、湿気を発散して気を巡らせる辛味、その代表がシソです。
冷や奴やそうめん、お刺身の薬味に欠かせないシソの葉ですが、シソも立派な薬。
生薬としては、シソ科のシソ、またはチリメンジソの葉や枝先を乾燥させたものを蘇葉(そよう)、
茎を蘇梗(そこう)、実を蘇子(そし)と呼び、ともに漢方薬に用いられます。
シソは赤ジソ系と青ジソ系に分けられますが、薬用に用いられるのは赤ジソ系です。
漢方で蘇葉(蘇梗含む)は身体を温め、発汗作用があることから、カゼ症状の緩和に適します。
また気の巡りを良くするため、悪心嘔吐・腹満などの胃部不快感や自律神経失調などの神経症にも応用されます。
蘇子は痰切りや咳止めとして使用されます。
蘇葉の辛味と温性の性質から、体内にこもった湿気や停滞しているものを動かし、発散させる働きがあるため、
脾を助ける力となってくれるでしょう。
【蘇葉、蘇子が配合されている漢方薬】
・半夏厚朴湯
・柴朴湯
・参蘇飲
・蘇子降気湯
・神秘湯
・藿香正気散
シソ茶で脾胃を元気に
蒸し暑くなってくると冷たい飲み物が欲しくなりますが、湿がたまっている人は要注意。
体内に湿気と冷えが合わさってこもると、しつこくてなかなか出ていきません。
なるべく温かいものを飲むように心がけたいですね。
そんな時におすすめなのがシソ茶です。甘味が欲しい時は身体を温める黒糖をプラス。
【シソと生姜の黒糖茶】
カップに、シソの葉1~2枚、生姜スライス1~2枚、黒糖を好みの量入れて、お湯を注ぐだけ。
シソと生姜は似たもの同士。共に辛散の働きを持つため、相性が良いのです。
梅雨時季、身体が重だるく疲れている時にはもちろん、悪寒がするカゼのひき始めにも使えます。
気を巡らせる陳皮(みかんの皮)を入れても良いですよ。
我が家では赤シソジュースを作る時にも陳皮を入れています。
暑くてもお腹は冷やさないようにしたいですね。
今年の夏もシソは大活躍しそうです。
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