- 鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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なぜ今、漢方? ~はじめての漢方基礎知識
ようこそ!はじめての漢方 Vol.1
どんなお悩みの方が漢方を利用してる?
皆さん、漢方と聞いてどんなイメージをお持ちになりますか?
美味しくない、すぐ効かない、古臭い、怪しい・・・
などのネガティブなイメージと、
身体に優しい、自然、副作用が少ない、体質に合ったオーダーメイド・・・
といったポジティブイメージがあると思います。
では、実際のデータを紹介しましょう。
漢方専門相談薬局(2017年 薬日本堂調べ)を利用されているお客様の傾向としては、、、
女性88%:男性12%
と圧倒的に女性が多いです。
女性の中でも、30代40代でなんと45%を占めています。
50代以上の利用者が多い、と思われた方は意外に感じているかも知れませんね。
確かに、病院から漢方薬を処方されて服用している方を加えたら50代以上が多くなると思います。漢方専門薬局ならではの数字かもしれません。
では、30代40代の女性は、どんなお悩みで来店されているか見てみましょう。
不妊症や月経トラブルなどの婦人科のお悩みと肩を並べて、
疲れ
冷え
ダイエット
などが上位にランクインされています。
このようなお悩みを、未病(みびょう)といいます。
未病とは、病院にいくほどじゃないけど、生活していて気になる症状(病気未満)のことですが、この状態をそのままにしていたら病気になってしますよ!(未来の発病)という身体からのサインととらえることもできます。
この未病のサインが出た時に対応して改善してしまいましょう!
というのが、漢方の基本の考え方です。
1人1人が、自分の身体の名医になる!
名医は未病を治す(上工治未病)という言葉があります。
最高の名医は、未病の段階で回復させるので、病気にすらさせない、ということです。
カゼを引いてからどの薬を飲もうか考えるのではなく、いかにカゼを引かない生活を日々心がけるかに重点を置くということですね。
漢方=漢方薬と思われがちですが、鍼灸・薬膳・気功・ツボなども含まれます。
その基本は日々の養生であり、心の持ち方、食事の仕方、運動や休養のとり方、季節との関わり方など生活全般がかかわってきます。つまり、毎日身体と一緒にいる自分自身が、一番の名医になれるということです。
そのための第一歩としては、身体のサイン(自覚症状)に興味を持つこと!
同じ条件で同じ不摂生をしても、全員が同じ不調がでるとは限りません。
身体の一番弱いところから、「この生活はダメですよ!」というサインが出ていると考え、生活を振り返ることから始めましょう。
漢方は中国から伝承した医学
古代中国医学が、仏教と同じように海を渡って日本に伝来したのが漢方です。
江戸時代に、オランダから入ってきた西洋医学を「蘭方(らんぽう)」と呼んだことに対し、それまでの伝統医学を「漢方」と呼んだことが始まりです。
なぜ漢方と呼び始めたかは、漢方の基礎が、中国の漢の時代に確立されたから・・
または、中国から伝承されたものとして漢○○と呼んだ。例えば、漢字や漢語・・
などなど、諸説はあるようです。
つまり、漢方という言葉は、日本の言葉だったのですね。
同じように伝統医学を、中国では「中医学」、韓国では「韓方」「韓医学」と呼びます。
その基本は、古代中国医学ですが、それぞれの国の文化や生活環境、風土の影響を受けながら発展してきました。
日本は、島国で海に囲まれています。
とても湿気が多いことから消化器系の働きが弱いのが特徴です。漢方薬の量を見ても中国や韓国の煎じ薬に比べたら大分少ない量になっています。
利水剤や去湿剤といった水の巡りを良くする漢方薬は、比較的多く使われているようです。
漢方や薬膳に興味があるけど学んだことが無い、という方に向けた基礎知識をコラムにして、毎月掲載していきます。次回もお楽しみに・・。
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