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公開日:2021.08.25 5201view

苔の色と変化を診る

舌は口ほどに物を言う ~舌診の話 Vol.12

苔の色は白・黄・黒
皆さん、今朝の苔の色は何色でしたか?
舌苔(ぜったい)は「色」と「質」を観察します。(『何を診ているの?舌の観察ポイント』舌は口ほどに物を言うVol.2

苔の色は白、黄、黒(灰色)の3色あります。

苔の色でわかること
「苔は“胃が負担なく元気に働いているかどうか“を主に診る、また全身の体調や病状の軽重もわかる」ことを前回のコラムでお伝えしました。(『気になる舌の苔、その正体は?』舌は口ほどに物を言うVol.11

“苔の色“からわかることはどんなことでしょう。
まず、色だけでいうと、健康的な苔は白です。

黄色は胃や身体のどこかに熱をもっています。
体調不良や病気による熱のほか、食生活では辛いものや脂っこいものの過食、量的に食べ過ぎたときに苔が黄色くなります。

“黒い苔“というと驚きますね。
実際には黄色が濃くなって、灰色になり、そして黒くなっていくという経過があります。

身体にこもっている熱が強いとき、病気が長引いているときなどに苔が黒っぽくなります。
また、病気の治療や服用している薬が、身体や胃の負担になっているときにも苔が黒くなることがあります。
たとえば抗生物質の服用によって黒くなることが知られています。

ちなみに、苔の色は飲食物によっても一時的に変化することがあります。
カレーやコーヒーで黄色や灰色に、牛乳で白に染まります。
喫煙が影響して苔の色が変化することもあります。

おかしいな?と感じたら、飲食物や喫煙によって苔の色が染まったり変化している可能性があることも舌診する際には知っておきましょう。

苔の色の変化でわかること
苔は体調や食生活によって日ごと変化しますから、苔の色を診る際は前回の観察からどう変化したかを診ることも役立ちます。

「白→黄→黒」
この方向への変化は不調が増しています。
「黒→黄→白」
逆の方向へ変化している場合は回復しています。

黒い苔は病院を除く一般的な日常ではあまり見かけないと思いますので、通常は白と黄色の間を行ったり来たりしていると思います。
苔の色が白を維持できるように、そして黄色の場合は早めに白に戻るように食生活や休息の取り方などを振り返り養生をしましょう。

先ほど、「色だけでいうと、健康的な苔は白です」と書きました。
色が白くても苔が厚ければ健康的ではありません。

苔は“色“と“厚さ“をセットで診ます。
次回、苔の厚さについてお話しします。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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