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公開日:2025.02.01 更新日:2025.02.0177view

じゃばらで花粉対策!~春を乗り切る養生法~

プチ不調は自分でカイゼン Vol.70

邪を払う=じゃばら
じゃばらの名の由来は、鬼も逃げ出すほどの酸っぱさから「邪気を払う」という意味からだそうです。今では、春の花粉症対策で、顆粒や飴、ドリンクなど、多くの商品が出回っています。

和歌山県の「北山村」で自生していたじゃばらは、江戸時代から分布していたゆずと九年母(くねんぼ)、紀州みかんなどの自然交配種で、世界にもここにしか自生していない珍しい、香酸柑橘(こうさんかんきつ)だとわかりました。

じゃばらには、フラボノイド成分のひとつであるナリルチンが、他の柑橘類と比べて、とても多く含まれていることが明らかになり、この成分が花粉症やアトピー性皮膚炎、気管支喘息などのⅠ型アレルギーの症状を緩和する効果があると言われています。

また、花粉の時期によく見かけるのが、甜茶(てんちゃ)ですね。
とても甘いお茶ですが、甜茶に含まれる「甜茶ポリフェノール」が、じゃばらと同じようにアレルギー症状を緩和する効果があると言われています。

どちらにも、眠くなる成分は入っていません。
薬に頼るだけではなく、このような素材を上手に生活に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

花粉症に使われる漢方薬は?
では、花粉症でよく使われる漢方薬を紹介しましょう。

水様の鼻水が多く出ている状態の時は「小青竜湯」。
鼻がつまって、鼻水が透明なときは「葛根湯加川芎辛夷」。
鼻がつまって、鼻水が黄色のときは「辛夷清肺湯」。
鼻水の状態がポイントになります。

◎小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
漢方薬で初めて、効能効果に【花粉症】と書かれた漢方薬です。
効能効果:体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症

◎葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
効能効果:比較的体力があるものの次の諸症:鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎

◎辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
効能効果:体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)

※ここで紹介した漢方薬は、あくまでも代表的なものなので参考してください。実際利用する場合は、専門の方に相談してくださいね。

鼻炎・花粉の簡単養生法
普段の生活の工夫や意識づけも大切です。以下の養生を取り入れてみましょう。

◎腸内環境を整える!
漢方では五臓六腑の「肺」機能が低下すると、鼻や皮膚を通じて症状があらわれると考えます。
その「肺」と密接な関係にあるのが「大腸」です。
大腸の環境を整えることが=肺の強化につながりますので、カゼ予防、鼻炎や皮膚のトラブルの方にも効果的です。
◎食物繊維をとる!
  水様の鼻水の方は、生野菜や青汁の取り過ぎは、冷えを悪化させるので注意してください。
  野菜、豆類、キノコ類や海草などに多く含まれます。
◎オリゴ糖をとる!
  腸内に住む善玉菌のエサになります。液体や粉の状態で販売されています。
  ごぼう、玉ねぎ、エシャロット、納豆、きな粉などには比較的多く含まれています。

●鼻の通りを良くする呼吸法
マスクの着用は必須です。閉じた状態の口の中で、舌先を前歯の裏側に軽く付けてください。
その状態で、テンポよく2回鼻で吸って、1回鼻から吐くのを繰り返しましょう。
スッ、スッ、ハー。
スッ、スッ、ハー。
自然に通りが良くなってきますよ。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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