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公開日:2024.11.14 909view

冬に生理痛が悪化するのはなぜ?冷えと生理痛の関係

漢方であなたを応援vol.32「冷えと生理痛」

冷えで縮こまるこころとからだ

朝晩の冷え込みが強くなり、日中も気温が上がらなくなってきました。
皆さん、「寒い!」ということをジェスチャーで伝えるとしたらどうしますか?きっと両手を両腕に回して縮こまる姿勢をするのではないでしょうか。

実は体内でも、血管や内臓が縮こまって動きが鈍ります。血管が収縮すると、手足末端の冷えだけでなく、脳血管障害や心臓疾患にもつながります。筋肉や関節も固まり、肩こりや腰痛、こむらがえりなども増えます。さらに体温維持にエネルギーを使うため寝起きが悪い、気分もふさぎがち、新陳代謝が低下してむくむ、免疫力が低下してかぜをひくなど、「冷えは万病のもと」といわれる所以です。

女子胞の冷えと生理痛
女性の健康に関わる子宮のことを漢方では「女子胞(じょしほう)」と呼びます。ここも冷えると縮こまり、機能が低下します。不妊症の方に「まず冷えを改善しましょう」とお伝えするのは、女子胞の機能を高めることで授かり体質にするためです。

生理痛についてはどうでしょう。
そもそも生理(月経)は妊娠準備の一環ととらえられます。1ヵ月に1度、卵巣から卵子を排出します(排卵)。 それに合わせて子宮内膜を厚くし、受け入れ態勢を整えます。 卵子が受精しなかった場合は不要になった子宮内膜がはがれ、子宮が収縮することで体外に排出されます。 これが生理です。
女子胞が冷えで縮こまっていると、この排出時に余分な力が必要なため、冬は生理痛が悪化しやすくなります。

子宮内膜がはがれる時は、分解するためのホルモンが血流に乗って子宮に届けられます。冷えで女子胞の血流が悪いとうまく分解できないため、子宮内膜がこびりついた状態で残ります。これを無理やりはがすため、血塊が多く、強い痛みが生じるのです。

温活で生理痛をやわらげよう
つらい生理痛の緩和には冷え対策が欠かせません。そして冷え対策は、様々な病気の予防、健康と美容の増進にもつながるので積極的に取り組みましょう。

まず、冷やす行動は控えて、しっかり温めましょう。
・素足はNG、足元を温める、足湯もおすすめ
・おなかや腰は下着で隠す、腹巻やカイロで温める
・生野菜や生ものは控えめ、温野菜やスープなどで温かく食べる
・冷たい飲み物は控えて、常温~ホットで飲む
・お風呂でしっかり温まり、湯冷めしないように注意する(よもぎ風呂はおすすめ)

室温と外気温の差に注意が必要です。電車や職場が暖かすぎて汗をかいてしまうのは本末転倒、着脱しやすいもので寒さ対策しましょう。

温める食材を積極的に食べるのも冷え対策では有効です。
・玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんにく、生姜などの辛味食材
・シナモン、胡椒、茴香などのスパイス
・くるみ、かぼちゃ、かぶ、しそ、黒糖、酢、えび、鮭、羊肉、鶏肉など温める食材
・紅茶、ほうじ茶など温めるお茶

女子胞の血流を良くしておくことも生理痛対策には必要です。血行不良の原因になることはなるべく控えましょう。
・夜更かし、夜中に目を酷使するなどは血行不良のもと
・適度な運動、特に足腰の動きが大切
・赤色と黒色の食材が血行促進に有効(黒豆、黒きくらげ、レバー、プルーン、クコの実など)

生理痛がつらい時にはツボを刺激しましょう。

<三陰交(さんいんこう)>

内くるぶしの上から指幅4本分上がった骨の後ろ側にあるツボ。血流を促進して冷えや痛みを和らげる。

<血海(けっかい)>

まっすぐに立ってひざに力を入れた時にひざの内側にできるくぼみの部分にあるツボ(膝蓋骨から指幅3本分上)。血液循環を整て、冷えや痛み、婦人科トラブルを和らげる。

痛みを我慢しすぎるのはよくありません。一時的な鎮痛剤の使用も検討しましょう。根本的な改善には漢方の考え方や漢方薬が役立ちます。冷え対策でつらい生理痛を緩和させましょう。


▽動画で!「女性の大敵「冷え」からだを温めるエネルギーが不足しているかも!?」

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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