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公開日:2024.09.14 更新日:2024.09.141537view

その涙、ため息、秋の自律神経失調によるものかも?!

漢方であなたを応援vol.30「秋の自律神経」

なぜか悲しい、落ち込みやすい秋
「訳もなく悲しい」「ちょっとしたことで涙があふれる」「ため息が多いと言われる」「会社に行くのが億劫で…」
9月に入ってからこんな状態に陥っている方、いませんか?
これらはもしかしたら、秋の自律神経失調による症状かもしれません。

「人間関係も問題ないし、特別ストレスに感じていることもないのになぜ?」と思う方もいるでしょう。
実はこれらの症状、自然界からもたらされるストレスが原因になっている可能性が大きいのです。漢方で読み解いてみましょう。

陽から陰に転じる秋がストレスに!
自然と人とのつながりを重視する漢方では、季節と人の活動や気分が連動していると考えます。
それを解き明かす考え方のひとつが陰陽(いんよう)。
太陽と月、明るい昼と暗い夜、暑い夏と寒い冬というように、自然界をすべては明るく活動的な陽と暗く穏やかな陰で成り立つという考え方です。

一年を区切る二十四節気でみると、5月の立夏から8月上旬の立秋までが夏、この期間は自然界に陽のエネルギーが満ちています。立秋から9月下旬の秋分を経て11月上旬の立冬までが秋、この期間は残暑厳しく陽のエネルギーが勝っている期間と、陰のエネルギーが増えてきて朝晩の冷え込みを感じる期間があります。
その境界になるのが秋分、陽の昼と陰の夜の時間が同じになる時で、陽から陰に転じるのが秋なのです。

人体にも様々な陰陽がありますが、その調整をしているのが自律神経と考えられます。活動を促す交感神経が優位な状態は陽、休息をもたらす副交感神経が優位な状態を陰ととらえてみるとわかりやすいでしょう。
実は自然界が陽から陰に転じる時に、人体でも陽より陰が優位になりやすく、気分が沈みがちでため息が増え、訳もなく悲しくなって涙するなんてことが起きてしまうのです。
実際に秋の風景として思い浮かぶものをあげてみるとわかりやすいでしょう。
日が暮れるのが早くなる、夕焼けに赤とんぼ、植物が紅葉し枯れる、吹く風は乾いてひんやりする…
いかがですか?何となく寂しくなってくるでしょう。

秋うつ症状と対策
秋の自律神経失調は、気づかぬうちにあらわれます。

□ため息が多い
□かぜをひいていないのに咳が出る
□しっかり休んでも疲れがとれない
□日中も眠くなってあくびが多い
□食欲がわかない
□訳もなく悲しくなって涙が出る
□生理や排便のリズムが急に乱れてきた

こんな状態がみられたら、「陰陽バランスが乱れているな」と考えて対策しましょう。
まずはお部屋の模様替えから。カーテンやベッドカバー、クッションカバーなどを暖色系に替えてみましょう。身の回りに陽の色を置くイメージです。明るい音色だけど落ち着ける音楽をかけるのもお勧めです。

気分をパッと変えてくれる味が辛味。
スパイスが利いたエスニック料理、黒糖とミルクを加えたスパイスティー、生姜やニンニクを使ったパスタやスープなども手軽です。
自然な辛味の食材として味方になってくれるのが、大根やねぎ、香菜、三つ葉、シソ、ミント、陳皮などです。香りのよいものも、少し取り入れることでスイッチのオンとオフが切り替えやすくなります。

加えて、陰陽バランスが乱れている時こそ、規則正しい生活が有効。毎日のルーティーンを決めて過ごしてみましょう。

■植物に水をあげる
■朝起きたら深呼吸する
■朝ごはんに気分のあがる好きなものを食べる
■決まった時間に短い散歩やストレッチなどで身体を動かす

ちょっとしたことが乱れたバランスを整えるきっかけになります。大きな乱れになる前に調整してくださいね。
自分で調整するのが難しくなったら、漢方の力を借りるのもよいでしょう。お気軽にご相談ください。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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