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公開日:2024.07.07 更新日:2024.08.011172view

からだ目覚めて巡る、新陳代謝アップのための動養生~毛管運動

しなやかに巡るからだをつくる~動養生のポイント~Vol.3

血はからだの栄養であり、こころの栄養でもある
今回は、私達の体内を流れる血液について、考えてみたいと思います。

漢方では心身に栄養を送る液体を「血(けつ)」と呼び、「はっきりとした意志」「鋭敏な感覚」「意欲的な活動」のために必要な物質で、精神活動の基礎と考えます。
言い方を変えると、血が不足し流れが滞ってすみずみまで行き渡らない時には、「肌や髪が乾燥する」「手足がしびれる」「足がつる」ばかりではなく、「頭がぼんやりする」「記憶力が低下する」「疲れているのに眠れない」「不安になりやすい」などが起こります。
こう考えると、血液が全身をよどみなく巡っている状態というのが、健やかなからだと康らかなこころにとって必要不可欠であることがあらためてわかりますね。動養生では、簡単な運動で全身の血を巡らせることが、大きな目的の一つとなります。

私たちの血管の長さは地球2周半分
血液を全身に行き渡らせるための通り道が血管ですが、体内に張り巡らされている血管を全てつなぐと10万㎞もあり、地球を2周半するほどの長さになります。
血管には動脈、静脈、毛細血管の3種類があります。
中でも毛細血管は100億本あるといわれ、全血管の99%を占めます。毛細血管の役割は、37兆とも60兆ともいわれる細胞すべてに、酸素や栄養など必要なものを届け、二酸化炭素や老廃物など不要なものを回収することです。40歳代から徐々に毛細血管は減りやすくなり、60歳代では20歳代の6割ほどになってしまうそうです。
毛細血管の減少は、シミやシワ、白髪や薄毛、冷え、認知症の原因にもなり得ます。また、酸素や栄養が行き渡らないことに対して心臓はより高い圧力をかけて血液を送り出そうとし、高血圧から動脈硬化、心筋梗塞などの心疾患にも繋がっていくことになります。

そこでご紹介するのが、手足の毛細血管を活性化する運動法、「毛管運動」です。

①枕を首にあて、仰向けに寝る。
②両手両足をなるべく床と垂直に上げる。両手は肩幅、両足は腰幅になるように。
③手のひらを向かい合わせにして、手の指は軽く離して伸ばし、足の裏は天井と水平になるように、背中は床に密着させる。
④両手、両足のつけ根から手足を細かく震わせる。


背骨がゆがまないよう、やわらかいベッドの上ではなく、硬い床の上で行いましょう。
朝晩2回、各2分ほど続けるのがおすすめです。足を上げている状態が辛い方は、はじめは30秒、1分というように、無理なく始めてみましょう。

血流は人生を左右する
「毛管運動」は重力によって下方で留まりがちな静脈血を、手足を上下逆向きにして振動を加えることで心臓へ戻しやすくしています。
手足の上げ方はより垂直である方が効果的ですが、足の筋肉に力が入り過ぎてしまう方は、かえって血流の妨げになりますので無理に垂直にしなくても良いです。力んでしまわない範囲でできるだけ垂直に、より細かく、四肢全体にまんべんなく振動を伝えるように意識してやってみましょう。
呼吸は止めずに自然に続けてくださいね。

血液自体が流れやすい性状であることも大事です。糖質や脂質過多にならないような食事のケアもお忘れなく。
血が充分に養われ、からだのすみずみまで巡っていれば、新陳代謝もうまくいき、滞り知らずです。心身ともに健康で、かつ、美肌や美髪や脱肥満と、美容面でもいいことづくめ。
体内の血流の良し悪しは、私たちの人生をとても大きく左右します。できることから少しずつで良いのでぜひ、始めてみてください。

林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

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