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公開日:2023.11.07 更新日:2023.11.272282view

健康で美しくいるための飲み方~水のとり方に気をつける

体質と生き方を左右する食べ方~食養生のポイントVol.5

木枯らしで乾燥してゆく肌と髪
明日は立冬ですね。毎年この時期になると木枯らしが吹き始めます。街路樹もだんだんと葉を落とし、春の訪れまでしばしの間、枯れ木となります。
我々人間も同じように、強く冷たい風に体表面を撫でられ、肌はカサカサ、髪はパサパサになります。

漢方相談でお話をお伺いしていると、気温が下がっていくにつれ、「冷えでトイレが近くなるし、夜間尿が気になるので水分補給を控える」という方が増えていきます。しかし、潤いを奪われてしまう秋冬のこの時期だからこそ、健康と美容のために水のとり方が重要になってきます。

水のはたらきと量のバランス
年齢によって差はありますが、身体の約60%は水分で出来ています。そして体内の水分は「血液循環」「栄養や酸素の吸収運搬」「体温やpHの調節」といった、生命を維持する上で重要な役割を担っています。

体内の水分量については常に出し入れを繰り返してバランスをとっています。呼吸や汗、尿や便といった排泄によって出ていき、入ってくる経路としては直接水を飲む以外にも、炊いたご飯やみそ汁、肉や魚など食事からの補給、また、消化時の体内合成でできる水分もあります。
出ていく水分量と取り込む水分量が±0に近ければ、正常な状態を維持できます。ですが、体内の水はたった数%不足しただけでも、体温上昇や頭痛やイライラが起こり、反対に数%過剰であれば、身体のだるさや消化不良、むくみなどが起こり得るのです。
過不足のない状態をキープしたいところですが、水分量は、食事内容や料理方法、活動による汗のかき方や排尿、排便などライフスタイルの影響を受けるため、人によって、さらには日によって異なります。まずはご自身やご家族がどのくらい水分を体外へ出しているかに着目してみましょう。

秋冬は体温を下げるために出ていく汗は少ないですが、空気の乾燥によって皮膚表面から蒸発することで知らないうちに体内の水分は失われていきます。体表面のカサカサはシワなど美容面でのマイナス要素として意識することが多いですが、体内の水分減少とつながるので、その他の不調の原因ともなるのです。潤いを奪われないようにするためにも、体表面の保湿ケアは大切です。
また、水分補給については、飲めば飲んだだけ体内に取り込めているかというとそうではありません。口から始まって肛門まで、消化管はストロー状の管であり、その表面はまだ体内ではないので、コップの水を口から入れても、そのうちどれくらいの量が体内に取り込めているのかは、人それぞれ吸収力の程度によります。

眠りと水分補給
夜間尿などは眠りの妨げにもなるため水分補給を控える、というお声もありますが、必要な水分を取っていただくことは正常な身体機能を維持する上で欠かせません。眠っている間におよそコップ一杯分の汗をかくと言われていますので、就寝前の水分摂取によって睡眠中の水分不足による血液中のミネラル濃度の上昇を防ぐと考えられます。

飲み方については、150~200㏄ほど少量の水を、冷たいよりも温かい状態で飲んでいただく方がおすすめです。お茶やコーヒーなどは利尿作用もあるため、白湯などはいかがでしょうか。お酒は水分補給としては適しません。利尿作用がありますし、アルコール分解の代謝物によって交感神経が優位になってしまい、夜中に目が覚めてしまう可能性があります。
寝る前30分から1時間前に、あたたかな白湯をゆっくりと飲むことで、ほっと心を落ち着かせて副交感神経を優位にし、眠りやすくなるかもしれません。秋冬の水分補給、ぜひ今日から意識を向けてみてくださいね。

林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

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