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公開日:2023.05.20 更新日:2024.01.102040view

意外と戦略的な漢方ダイエット

漢方薬のつぶやき vol.7

ダイエットするなら立夏を過ぎてから
季節のリズムでみると、ダイエットをするなら「閉蔵(へいぞう)」の冬は避けて、「発陳(はっちん)」の春がよいとされています。春は身体の新陳代謝が高まりダイエットにはよい時期。
しかし、変化の季節である春は身体が不安定なため、実際にダイエットをスタートするのは、立夏を過ぎてからが理想です。この頃から身体が安定してきますので、体調に負担が少なく、効果的にダイエットができます。

本当の「漢方ダイエット」ご存じですか?
漢方ダイエットは根強い人気です。どのような方法なのかご存じでしょうか?
「漢方薬を服用して痩せる」というイメージを持っている人が多いと思いますが、「漢方ダイエット」は漢方薬を使わないこともあります。

そもそも漢方薬は痩せる薬というわけではありません。
ダイエットで漢方薬を使う目的は、気血水(きけつすい)の滞りを解消し、胃腸の消化吸収・排泄機能を整えていくことです。
その過程でその人にとって適正な体重になっていきます。ただし、漢方薬だけで体重が落ちるのではなく、当然ながら飲食の仕方、身体の動かし方、気分転換など心の養生も一緒に行います。

生活養生の知識を得て実践しつつ、必要に応じて漢方薬を服用する。
これが「漢方ダイエット」です。

漢方ダイエットの戦略
「太りやすく、痩せにくい原因がどこにあるのか?」漢方ダイエットではそんなことを考えます。
食べたものの経路をたどると、身体の中では「摂る→巡らせる→出す」という3つの段階があります。

「摂る」は、何を飲食しているか、いつどのように食べているかです。
「巡らせる」はいわゆる代謝のイメージ。飲食物から栄養である気血(きけつ)を作りだして全身へ送ります。五臓六腑が順調にはたらいているか、運動不足やストレスが気血の滞りを招いていないかなどを見ます。
「出す」は、スムーズな排便や排尿、適切な発汗です。

これら3つの段階のどこに原因があるかを知ることが先決です。その上で、生活養生と適切な漢方薬で身体を整えていきます。
体質や生活はひとりひとり異なりますので、ダイエットの方法もその人に合う形があります。
漢方ダイエットは意外と戦略的です。

体重だけでなく体感も大切に!
ダイエットをする際に気をつけたいのは、不健康なダイエットにならないことです。
体重が落ちたのに、体力も落ちてしまうようなダイエットは避けたいです。体力が落ちると疲れやすくなり、やりたいことが思うように出来なくなります。
ほかに肌がカサカサする、顔色が悪い、立ちくらみ、女性では月経のリズムが乱れるなどの不調が起こることも。これでは残念です。

ダイエットの目的は病気の予防・改善、美容のためなどさまざまありますが、イキイキと元気に過ごしたいという根本を見失わないようにダイエットをしたいです。
そのためには、標準体重ではなく自分にとっての適正体重を目標にしましょう。年齢とともに適正体重は変化することも考慮してください。そして、体重や見た目だけでなく、身体の軽やかさ、体調不良が起きていないかなど体感を大切にしましょう。

ダイエットをしていく過程で、日頃気になっていた肌荒れ・むくみ・肩こり・冷えなどの不調が一緒に改善されていくことも漢方ダイエットのメリットのひとつです。

動画でも”漢方ダイエット”をご紹介!


飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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