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公開日:2023.05.07 更新日:2023.05.071973view

生命力をいただく食べ方~丸ごと食べる

体質と生き方を左右する食べ方~食養生のポイントVol.2

春の環境変化でヘトヘトなあなたへ
前回のコラムでご提案しました養生法、実践してみられた方はいらっしゃいますでしょうか。
実際にやってみて、いかがでしたか?
「続けられているし、なんとなく変化を実感している」という方もいれば、「やってみたけど続かなかった」という方もいらっしゃるでしょう。

いずれにしても、自分の日々の心地よさのために、何かを始めてみた!という段階で、充分、素敵な一歩が踏み出せておられると思います。漠然と頭にあるだけなのと、実際にやってみたのとでは、大きな違いがありますよ。
気が向いた方はぜひまた今日からでもやってみてくださいね。
さてさて、第二回目も始めていきましょう。テーマは「丸ごと食べる」です。

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?
4月から新年度となり、ご自身やご家族の生活環境が変わられた方もいらっしゃるかと思います。慣れない環境では気も張りますし、一か月なんとか駆け抜けてのちの、しばしフッと気が抜けるタイミングだったかもしれませんね。
気力体力の消耗を感じるなぁ…。ちょっと弱気な自分が顔を出しかけているそんなときには、〝気〟を補っていきましょう。

元気はどこから来るのか
〝気〟とは、生きて活動するための生命エネルギーのことで、身体を動かす、温める、守るなどのはたらきがあります。
生命活動は不断に行われるので、〝気〟は常に補っていく必要があります。

大自然のつながりの中で、私たちは他の生命をいただいて生きています。
食卓に上る主食のお米も、汁物の中の海藻も、副菜の野菜も、主菜のお魚やお肉もすべて、かつて生きて生命活動を行っていたものたちです。
光合成という機能で太陽のエネルギーを変換し自らの中に蓄えた植物や植物プランクトンを、草食動物や小魚や動物プランクトンが食べ、それを肉食動物や大魚が食べ、さらにそれを我々人間が食べる、という一連のつながりがあり、エネルギーの授受が行われています。

食物に含まれる大自然のエネルギーは、このように「食べる&食べられる」を何度も繰り返しながら移動していきますが、食べられる側に蓄えられているエネルギーのうち、食べる側に移動するエネルギーの割合は10~20%ほどだそうで、「食べる&食べられる」を繰り返すほどエネルギー量は少なくなっていきます。となれば、その連鎖のなるべく早い段階でいただくのが理にかなっているのかもしれません。
トロの刺身のように、マグロという大魚の特定の一部をいただくよりも、イワシのような小魚を頭から尻尾まで、生きて泳いでいたそのままの姿で丸ごといただく方が、貴重なエネルギーをより効率よく受け取ることになるわけです。

まずはできることから始めましょう
元気の〝気〟は本来は〝氣〟と書くように、稲作をし、米を主食とする日本の土地で生まれ育ってきた身体にとって、気を補うにはまずは米を、玄米として丸ごと食べるということです。土に蒔いたら芽が出る、生命力がギュッとつまったものをいただくということですね。

前回のコラムで一口30回噛むことをまずはお伝えしましたが、具体的な数字を掲げてよく噛むことが習慣化できてきたら、次のステップとしては食べるものによって噛む回数は変えていきましょう。
目安は食べ物が口の中でどろどろのお粥状になるまでですので、硬いものはより回数が増えていくと思います。玄米であれば50回くらいでしょうか。
そうして食べていくと、胃の強くない方が玄米食で消化不良を起こしてしまう、という可能性も減らせるかと思います。もちろん無理に頑張ってしまうのは避けていただきたいですが、取り組んでみる価値はあると思います。

玄米を炊いてみよう

「玄米がいいのはわかったけれど、炊き方もわからないし、家族は白米がいいって言うし…。」というお声をよくいただきます。
初めから完璧にやろうと気負わずに、取り掛かりとしてまずは炊飯器の玄米モードでもよいのではないでしょうか。家電にせっかく備わっている機能は活用してあげましょう。

家族構成・ライフスタイルに合った玄米ライフを
あとはご家族のことですね。我が家でも、高校生の長女は玄米食に積極的ですが、中学生と小学生のお兄ちゃんたち二人は消極的です。二歳の末っ子は玄米を十分に噛むというのは難しいです。
実際の選択肢としては、自分と長女のために食べきれる分だけ玄米を炊いて、その後に白米を炊くというのがひとつ。あとは玄米と白米を半々もしくは3:2で炊くというパターン。それも、カレーや丼物など上に具材をのせることでお米の色や食感の違いが比較的目立ちにくいメニューの時に。他にも、七分づき、三分づきのお米からスタートするのもいいと思います。

家族も健康習慣に巻き込めたら理想ですが、家族といえども価値観や嗜好はもちろん発達段階も違うので決して無理はせず、というのが大事ですね。
100%完璧なやり方で3日で疲れてしまうよりも、自分にとって無理がなく、楽しんで取り組めると自然に続くので、習慣化され、嬉しい変化も得られやすいです。継続は力なり。そこへ向けても、ぜひ良い加減でいきましょう。

次回は「四季を感じる食べ方~旬のもの、土地のものを食べる」です。どうぞ元氣でまた会いましょう!

林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

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