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公開日:2023.03.15 更新日:2023.07.184075view

和漢・ハーブの香りで癒され入浴タイム!19-21時の過ごし方

漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.12

夜は意識的にリラックスを心がける!
今回紹介する時間は、「戌(いぬ)の刻」(19~21時)、漢方では“心包(しんぽう)”が担当する時間です。
19-21時は日(太陽)が完全に落ちて、夜が深まる時間帯です。
漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.8 のコラムで紹介した陰陽についておさらいしてみましょう。




この陰陽図、黒色は”陰”、白色は”陽”を表しています。
「暗い、抑制、冷静、消極的、穏やか、寒い」は陰の特徴、「明るい、興奮、情熱、積極的、活発、温かい」は陽の特徴に分類できます。

一日を見てみると、起きてからの午前中は活発に動く陽の時間で、午後は穏やかに過ごす陰の時間です。
戌の刻(19-21時)は就寝に向けて、穏やかな“陰”の行動(リラックスできるストレッチ・ウォーキング・入浴など)に切り替えるといい時間帯です。
しかし「家事で忙しい」「まだ仕事をしている」など、実際は心身ともに休まらない方が多いのではないでしょうか。かく言う私もこの時間は仕事か帰宅中です。戌の刻にゆっくり時間が取れる時は、意識的にリラックスする様にしています。
戌の刻は、心身を穏やかに整え“心包”の働きを活かしていきましょう。
まずは漢方で考える“心包“の働きを見ていきましょう!

漢方で考える心包の働き
漢方では“心”は「君主(王様)」、“心包”はその「護衛や側近」と考えています。
“心”は、全身に栄養分である“血"を送り、精神・思考・判断力をはっきりとさせる働きで人体において重要な役割を担っています。
“心包”の働きは諸説ありますが、“心”の働きをサポートして、外邪(がいじゃ)から“心”を守っています。
※外邪:外から人体に侵入し、病気の原因になるもの(病原菌、気候の変化、ストレスなど)

明代末の医学(鍼灸)書『類経図翼(るいけいずよく)』に
“心臓を包む膜”として“心”にぐるぐると絡みついている図が描かれています。
西洋医学で見てみると、心臓の周りの“心膜”は心臓の活動を円滑にして、呼吸により動く“横隔膜”は心肺機能をサポートしていると言われます。西洋医学の“心膜や横隔膜”は“心包”と近い働きとも言えるかもしれません。

【心包の働きを高める19-21時の過ごし方】

①激しい運動はしない:心臓が激しく脈打つような運動は、“心・心包”に負担がかかります。軽めのストレッチやウォーキングなど、リラックスを目的とする運動はおすすめです。

②香りを活かす:香りで嗅覚を刺激することは、心身を整えるのに効果的!好きな香りに包まれてリラックスしましょう。


③お風呂に入ろう:入浴の効用は4つあります。
1.体を温める 2.ストレス解消とリラックス効果 3.血行促進 4.皮膚を清潔に保つ
体温が適度に上昇すると副交感神経が活性化してリラックスできます。
ただし湯温が41℃以上になると、心拍数が上がり心臓に負担がかかるので注意が必要です。
40℃の少しぬるめの湯にゆっくりつかるのがGOOD!

お風呂は沸かしたての場合、湯温が熱すぎる、また保温効果が弱いと言われます。これを防ぐためには入浴剤をうまく使うのが有効です!
今回は”心・心包”を整える、和漢・ハーブの力を使った漢方の体質別入浴法を紹介します。

和漢・ハーブの香りで“心身を包みこむ” 漢方的入浴法

漢方では体質によって、効果的な入浴の方法があります!
まずは気血水タイプチェックで、ご自身の今現在の体質タイプをチェックしてみてください。
気血水タイプチェックはこちらから

【漢方体質別 和漢・ハーブ入浴法】
<準備>
①リラックスにはぬるま湯がおすすめです。湯温は40℃前後に設定しましょう。
②湯あたり予防に、入浴前にコップ一杯の水を飲みましょう。

気虚タイプ
10分前後を目安に、長風呂は禁物です。“心身”に負担をかけないようにしましょう。
  和漢:ニンジン(高麗人参),米ぬか
  アロマ:スイートオレンジ、バニラ、ローズマリー

気滞タイプ
好きな香りの入浴剤を入れましょう。香りを楽しみ深呼吸してゆったり入浴しましょう。
  和漢:チンピ(陳皮)、ショウブ(菖蒲)
  アロマ:カモミール,柑橘系,ミント(薄荷)

血虚タイプ
入浴中は目を閉じてリラックス。お風呂上りに腰回りを中心にストレッチしましょう。
  和漢:トウキ(当帰),キク(菊花)
  アロマ:ローズ(薔薇),ゼラニウム,イランイラン

瘀血タイプ
半身浴で血行促進!入浴後にサワードリンクを飲むのもおすすめです。
  和漢:ヨモギ(艾葉),シナモン(桂枝),コウカ(紅花)
  アロマ:ローズ(薔薇),ラベンダー

水滞タイプ
汗をかくとスッキリ出来るタイプです。むくみが強い人は、入浴中に足のふくらはぎをマッサージしましょう。
  和漢:ハトムギ,ドクダミ(十薬)
  アロマ:ゼラニウム,ジュニパー

※香りは気血水の体質に合わせた一例です。
※タイプが一つでない場合には、タイプ別の対策を組み合わせてみてください。

私は“血虚と水滞”タイプなので、ゼラニウムとローズがブレンドされた入浴剤を使い、目を閉じて汗ばむまでゆっくり入浴しています。
寝る前に好きな香りに包まれると、一日の疲れが癒されます。
皆さんも好きな香りで、戌の刻はリラックスを意識しましょう。

次回は亥の刻(21-23時)、『漢方と体内時計』の最後の時間になります。
「ぐっすり寝るために、三焦経を参照しよう!21-23時の過ごし方」
担当する三焦経とその時間帯の過ごし方について語ります。お楽しみに。

<共著>

荒毛 克麻
荒毛 克麻 - Katsuma Arake

[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら
カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店

原口 徳子
原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]

1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。

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