- 齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。
自律神経の切り替え不調が招く「夏の疲れ」と「冷房病」
漢方であなたを応援vol.4 「夏の疲れと冷房病」
夏に襲ってくる?!猛暑と寒冷のダブルパンチ
連日、猛暑が続いています。
扇風機やエアコンを適切に使用し、こまめな水分補給と休憩、夏野菜を使った食事などで夏ばて対策をしましょう。
この時季、店舗では「疲れ」と「冷え」のご相談が増えます。
次のような症状が重なるようであれば、漢方相談もご検討ください。
□ 疲れとだるさがとれない
□ ぐっすり眠れない
□ 首のこりや肩のこわばりがつらい
□ 食欲がわかない
□ 足がむくんで痛い
□ 手足や腰が冷える
□ お腹が冷えて軟便・下痢傾向
夏は外に出れば猛暑で、強い日差しとムワッとする高温多湿な空気が襲ってきます。
そして室内や、移動で使う電車やバスが思った以上に冷えており、涼を得るため氷入りのドリンクを飲めば中から冷える・・・
猛暑と寒冷のダブルパンチを受けているのがわかります。
スイッチ切り替えで酷使される自律神経
体温調整は自律神経(交感神経と副交感神経)が担っており、その仕組みは巧妙です。
暑いと副交感神経が優位になって毛穴が開いて汗をかき、血管を拡張させて体内の熱を放散します。
寒いと交感神経が優位になって毛穴を閉じ、血管を収縮させて体温の低下を防ぎます。
夏は自律神経が2つのスイッチを切り替えるのに大忙し。
・温度差が大きい
・冷たい風が直接あたる
・冷やす時間が長すぎる
特に上記の3つは自律神経のバランスを乱す大きな原因です。
「夏の疲れ」「冷房病」は自律神経失調の症状と考えることが出来ます。
「夏の疲れ」「冷房病」対策は陰陽バランスが鍵
暑さと寒さ、昼と夜、火と水のように、自然界は陰(いん)と陽(よう)の2つで成り立つと漢方では考えます。
参照:漢方の基礎知識「陰陽論」
猛暑と寒冷で乱された交感神経と副交感神経の切り替えは、陰陽バランスを整えることで安定させましょう。
暑さ(陽)と寒さ(陰)の偏りを大きくしないことがポイントで、「夏の疲れ」と「冷房病」の予防や改善につながります。
◆ 衣類と寝具で温度を調整
室温の設定は26℃前後を目安にして冷やし過ぎないようにしましょう。
冷房が効いている場所では、首元と足首を守るように心がけましょう。
薄手のストールはどちらにも使えて便利です。
◆ 頭寒足熱
頭部の熱は、ミントオイルを加えた冷水に浸したタオルで冷ましましょう。
冷えは足元にたまるので、足湯で温めるのがおすすめです。
◆ 休息をしっかりとる
自律神経のバランスが乱れている時は、ゆったりすることを意識しましょう。
・朝はすぐに活動するのではなく、深い深呼吸からスタートさせる
・昼の休憩時間に目をつぶって昼寝をする
・夕方は少し甘味のある飲み物やストレッチで緊張を緩める
・夜は少しぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
◆ お腹を温める食材を食べる
暑い時はナスやトマト、キュウリなどの夏野菜が熱を冷ましてくれます。
疲れや冷えが気になる時は、シソやショウガ、玉ネギなどお腹を温める食材を加えるとバランスが整います。
黒酢やもろみ酢、フルーツ酢なども、さっぱりした味わいで潤いを補い、お腹を温めるのでおすすめです。
漢方の智慧で養生して、夏の疲れを吹き飛ばしましょう!
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