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公開日:2022.05.25 更新日:2022.10.132430view

延年益寿、霊験あらたかでおめでたいキノコ?!霊芝とは

漢方であなたを応援vol.2 「霊芝」

硬くて苦くて食べられないキノコ…
私は今、薬膳レストラン10ZENで、濃縮霊芝ドリンクがブレンドされた薬膳コーヒーを飲んでいます。
今回は、神々しいという意味の漢字、「霊」が名前に入った霊芝(れいし)を紹介しましょう。

古代の人々は、漢方薬だけでなく、薬酒や薬膳、お茶や浴剤などに、自然に生きる植物を多用して健康維持や不調の改善に役立ててきました。

その中のひとつ、霊芝はマンネンタケ科マンネンタケの子実体、いわゆるキノコの一種です。
ウメやカエデ、ブナなどの木の根元に発生し、腎臓のような形をしています。
普通のキノコと違って、傘の端のほうに柄がついており、表面は硬く光沢があるのが特徴です。

マンネンタケは「万年茸」と書きますが、これは硬くて腐りにくく、長い期間、形を保つことが出来るからといわれています。
キノコなのに硬すぎて普通には食べられない、刻んでグツグツ煮出すと、おいしい出汁ではなく苦い液体が出来上がる不思議なキノコ。
古代の人々は、その生態に神秘的なものを見出したようです。


瑞祥(ずいしょう)の印、霊芝
2000年以上前の中国の古典『神農本草経(しんのうほんぞうけい)』は、365種類の生薬が上品・中品・下品という3つの分類で掲載されている生薬事典です。
ここで霊芝は「上品(じょうほん)」の最高位に置かれていて、「命を養い、多く連用しても人を傷つけない」と書かれています。

1500年代の古典で、ユネスコの世界記録遺産でもある『本草綱目(ほんぞうこうもく)』には、「久しく食すれば身を軽くして老いず、年延ばし、神仙ならしむ」と書かれています。

食べ続けることで老いずに寿命が延びて、仙人になるなんてすごくないですか?!
話半分としても、延年益寿薬として扱っているのがおもしろいなと学生時代に思ったものです。

実は『日本書紀』にも霊芝を食べた親子が無病長寿になったという記載があります。
稀少でなかなかみつからず、しかもすごい効果があるので、古代の人々は霊芝を瑞祥、めでたいことが起こる印と考えていたようです。

まだまだ知られていない生薬のチカラ
前述の古典で、霊芝には強壮と鎮静の働きがあるとされています。
人体のエネルギーである気を補うので、虚労(きょろう)という虚弱で疲労している状態に用いられます。
お腹の調子や心の状態を安定させるとも書かれているので、体力の底上げに有効だと考えたのでしょう。

現代になって、霊芝の成分もさまざまな角度から研究されています。
抗炎症、抗腫瘍、 発がん予防、 血糖降下、 抗高脂血、 肝臓保護、抗ウイルスや抗菌作用など、多彩な生理機能が報告されているトリテルペノイドが含有され、βグルカンなどの多糖類も含まれています。
これからもっともっと研究が進んで、医薬品として日の目を見る時がくるかもしれません。

古代の人々が信じた霊芝のチカラと、健康のありがたさを思いながら、仕事に戻ります…

私が執筆しながら飲んでいる薬膳レストラン10ZENの薬膳コーヒーの詳細はこちら

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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