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公開日:2021.08.15 更新日:2021.08.154131view

気になる舌の苔、その正体は?

舌は口ほどに物を言う ~舌診の話 Vol.11

胃の元気度が苔にあらわれる
舌の苔を気にしている人は多いと思います。
歯ブラシでゴシゴシこすって取ったりしていませんか?

舌の苔は漢方の用語では「舌苔(ぜったい)」といいます。
舌苔(ぜったい)は、胃の中で飲食物が消化されていく過程で生じる代謝産物や未消化物などが舌の表面にあらわれたものです。

ですから苔は、“胃が負担なく元気に働いているかどうか“を主に診ることが出来ます。
ほかに臓腑の状態や気血の充実度が胃に影響しますので、体調や病状の軽重もわかります。

苔は厚くても不調、無いのも不調
健康的な舌苔(ぜったい)は、均一に薄く白く、適度な潤いがあって、舌の中央から根元にかけて少し厚くなっています。

胃が負担なく元気に働いていれば、苔は舌の表面に正しくあらわれます。
たとえば、食べ過ぎて消化しきれず未消化物が多いと苔が厚くなり、胃の働きが不調で栄養の吸収がうまく出来ないと、苔が剥がれたり無くなったります。
つまり、苔が厚いと不調なのですが、無いのも不調です。

苔はついているのが自然ですので、苔を全部取り除こうとして歯ブラシで強くこすったしないようにしましょう。
口腔ケアとして苔を取りたい場合は、専用のものを使うと舌を傷つけません。
ちなみに私は、V字型のタングクリーナーで苔の表面をサッと軽く除きますが、それでも残っているのが漢方で診る舌苔(ぜったい)です。

日々変化する苔、観察は起床時がおススメ
「舌が白い」「歯の痕がついている」「ひび割れがある」など、舌本体の色や形は変化するのに時間を要することが多いのですが、それに比べて苔は日ごと変化しており、苔の観察は日々の体調確認や食生活の振り返りにとても役立ちます。

苔は食事や会話といった、活動によって厚さや潤い度などの状態が変わりますので、観察のタイミングは起床時がおすすめです。
就寝中、口を閉じてじっとしている間に、苔が静かに舌にあらわれてきます。
起床時の苔の状態は、前日の食事の摂り方が自分にとって適切だったかどうか、胃が負担なく元気に働いているかどうかを教えてくれます。

次回、苔の観察項目と意味について具体的にお話しします。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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