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公開日:2021.07.10 更新日:2021.07.143867view

夏の胃腸トラブルに、身近なもので始める食養生

季節の不調と漢方相談Vol.2

陰と陽、漢方から考える夏
カガエカンポウブティック日本橋高島屋S.C.店の店長、成田です。
私達は、「漢方で美しく輝けるように」をテーマに美と健康と癒しを提案しているほか、無料の漢方カウンセリングも行っています。

さて、昼夜を問わずムシムシした日が続き、暑さもピークを迎えつつあるこの時期は、胃腸トラブルのご相談が増えます。それはなぜでしょうか?
まずは漢方の考え方で夏を見てみましょう。

漢方は「陰陽論」が基本になっています。
これは、「昼は陽で夜は陰」「暑いのは陽で寒いのが陰」というように、自然界にあるすべてのものが、相反する陰と陽という性質を持つという考え方です。

気温が高く、昼間の時間が長い夏は、一年でもっとも陽の強い時期で、潤いが不足しやすい季節と考えられています。
潤い不足でさらに熱がたまり、汗をかくことで消耗しやすくなる一方で、冷たい食べ物・飲み物を摂ると胃腸が冷え、消化吸収力が落ちて元気が不足していきます。

これが夏バテの元になるのです。
暑い夏は水分補給をしっかりしつつ、胃腸が冷えすぎないようにすることが大切です。

こんな症状は胃腸疲れのサイン!早めに胃腸をいたわりましょう
漢方では、消化吸収から排泄まで、胃腸の機能を「脾(ひ)」と呼びます。
脾の調子は、まず唇に表れると考えられています。
口角炎や口周りの吹き出物は不調のサインです。

消化の良い食事を心がけて早めに胃腸をいたわりましょう。
胃腸トラブルにはいくつかのタイプがあります。

●下痢や腹痛などが気になる…冷えが原因の胃腸トラブルで、温めると楽になる特徴があります。
漢方では気血水というエネルギーや栄養が体内をめぐっていて、冷えるとその流れが滞りがちになります。
このような場合は、夏も冷たいものを控えた方が良いでしょう。

●食欲不振が長く続く…元々胃腸の元気が不足していることが考えられます。
よく噛んで規則正しい時間に食べ、揚げ物や刺激物を控えましょう。

●ストレスが多い…食事だけでなく、ストレスも胃腸に負担をかけトラブルの原因となります。
胃痛やゲップが出やすい方は、リラックスを心がけ、香りの良いものを取り入れるなどして、気の巡りをよくすることがおすすめです。

●暴飲暴食しがち…便秘や胸焼けなどのトラブルが起きやすくなります。
胃を空にして休ませる時間を作り、リセットしましょう。

山のうなぎでパワーアップ!「とろろ汁」
この時期におすすめのレシピは、「山のうなぎ」と呼ばれるほどスタミナ満点の山芋を使った「とろろ汁」です。
だし汁にキノコなどを入れ、酒・醤油・塩などで味を整えたら、最後にすりおろした山芋を加えて、とろみがつくまで待てば完成です。

芋類は脾の働きやパワーを補う性質があるため、疲れや食欲不振でお困りの方に◎。
さっぱりしているので、食欲がない時にも食べやすいですよ。
脾の働きを助けてくれる大葉や陳皮などをお好みで加えるのも良いでしょう。

胃腸は食べ物が直接入るところですから、食事の内容は胃腸のコンディションに大きく関係しています。
毎日何気なく口にするものが、私達の身体を作っています。

身近な食材が、実は胃腸トラブルを助ける養生につながっているのです。
体は一日では作れませんから、簡単な食養生から始めて、ぜひ継続していきましょう。

また、ご紹介したように胃腸トラブルといってもいろいろなタイプがあります。
気になる症状も人それぞれなので、まずは一度、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。



成田 かおる - Kaoru Narita
[カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店店長]
大学卒業後、登録販売者としてドラッグストア・大学病院に勤務後、2013年薬日本堂入社。現在は日本橋高島屋S.C.店店長として、店舗管理やスタッフ教育の他、広報取材対応にも携わる。お客様ご自身が前向きに養生に取り組めるように、丁寧なカウンセリングと親しみやすい雰囲気づくりを心がけている。
カガエ カンポウ ブティック日本橋髙島屋S.C.店

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