- 鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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冷えと月経トラブル~女性と漢方養生③
プチ不調は自分でカイゼン Vol.27
冷えは、百害あって一利なし!
寒さは、身体を冷やし流れを止めてしまう特性があります。
冬はもちろん夏も冷房から、寒さ=寒邪(かんじゃ)の影響を受けています。
□鼻水や尿、おりものなどが透明でサラサラしている
□冷房に弱く、首や肩がガチガチで手足が冷たい
□お風呂に入ったり、温めると調子がいい
このような症状は身体が冷えているサインです。
体の熱エネルギーは筋肉で作られますが、女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、もともと熱を作り出す力が弱く、冷えやすい傾向にあります。
体温は温かい血(血液)が、気の力で全身を巡ることで保たれます。
しかし、女性は生理のたびに血液量が一時的に減少することで、酸素や栄養を含んだ温かい血液が全身に行きわたりにくく、冷えやすいのです。
冷えのダメージを受けやすいのが、「子宮と卵巣」です。
子宮は、胎児を温かくて居心地の良い環境で育む場所ですから、妊娠~出産に備えて多量の血液を必要とします。
そのぶん血行が悪くなると、たちまち冷えの状態に陥ります。
やかんの中のお湯は、多いと冷えづらいのに、少ないとすぐ冷えてしまうのと同じイメージですね。
卵巣が冷えると機能も低下し、生理痛や生理不順、不妊、ホルモンバランスの乱れなどのトラブルが生じます。
また、女性の体は子宮を守ろうとするため、お腹周りに脂肪がつきやすくなります。
余分な脂肪は、一度冷えると温まりづらくなり、血流が悪くなることでホルモンバランスが乱れ、生理痛などを重くさせます。
太り過ぎは要注意ですね。
逆に、コレステロールは女性ホルモンの原料になるので、無理なダイエットはホルモン不足になり、筋肉量が減ることによって基礎代謝が落ち、低体温になって自律神経系の不調を招いてしまいます。
女性のための温め養生法
規則正しい生活がすべての基本です。
できるだけ早く寝る、適量をよく噛んで食べる、体調優先で無理はしない、を常に意識しましょう。
●後ろを鍛える
筋肉をつけることで代謝が上がり燃焼率も高まります。
そのためには、背中のぜい肉を筋肉に変えること。
肩をグーッと開き、姿勢を常に意識するだけでも背中に負荷がかかります。
ちょっとした時間につま先立ちを意識して後ろを鍛えましょう。
●小腹がすいたらナッツ
種や実、ナッツ、ドライフルーツなどは血を作る原料になります。
クコの実、ゴマの実、松の実、クルミの実、プルーン、イチジク、かぼちゃの種など。
良質な血は、身体を優しく温めます。
●3首を冷やさない
手首、足首、首周りの3首は冷やさない対策を。
女性はこれに腰回りがプラスされます。
手足が冷たい人は、体育の準備運動でしたように、手首足首を回してみましょう。
単純ですが、血流が良くなりますよ。
よもぎで温活!
よもぎは、漢方でも艾葉(がいよう)と言う名前で知られ、「艾」とは「疾(やまい)を艾する(止める)」の意味であるとされています。
よもぎの語源は、お灸に使うもぐさがよく燃えることから「よく燃える草=善燃草」とか、どんどん増えることから「よく萌えでる草=善萌草」という説などの諸説あります。
お灸のもぐさや入浴剤、よもぎ蒸しでも使われるマルチ素材ですね。
はたらきは、温経、散寒、止血など。
温の性質を持ち、体を温め、痛みを和らげ、気血のめぐりを良くします。
また、辛・苦の性質を持ち、寒気を取り去り、気血のめぐりを改善し、身体の悪いもの(邪)を排泄します。
1リットルの水に、よもぎを5~10g入れて沸騰させ、弱火で10分ほどコトコト煎じれば、よもぎ茶のできあがり。
女性にとって嬉しい成分とはたらきがいっぱいです。癒されますよ。
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