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公開日:2020.04.09 更新日:2020.05.01101336view

漢方で見る感染症対策Vol.4 「板藍根」の正しい使い方と「気」とは何か?

感染症(細菌、新型コロナウイルスなどによる感染)について、予防の観点から「漢方で見る感染症対策」 の連載を始め、今回が4回目となりました。読者の皆さんは何か行動をされたでしょうか?酢を煮てみましたか?よく寝るように気をつけましたか?体調に合わせて食事をしたり漢方薬を飲むようにした方もいたと思います。

さて、このところ漢方薬局で入荷すると即完売となる商品があります。それは「板藍根(ばんらんこん)」です。ところが買った方に話を聞いてみると、板藍根に対する誤解が多いことに気がつきました。今回は正しい使い方をご紹介します。

板藍根と新型コロナウイルス
板藍根はアブラナ科の「ホソバタイセイ」という植物の根の部分です。ただし、私たちが普段見かけるようなものは、薬としては使えません。品種や産地にこだわり、良質なものを「道地薬材」と呼びます。葉は藍染めに使われ、内服/外用ともに生薬として使います。

日本でも知られるようになったのは2003年頃、当時中国ではSARS大流行の際に大量に使用されたため、日本へ輸出することができず、欠品が目立ちました。それ以降、板藍根は「抗ウイルス効果」があると認識され、今回、新型コロナウイルス感染予防のため飲むという方が比較的多いようです。

ちょっと待った~~!日本では、板藍根は食品としての扱いですが、長期にわたって飲み続けると身体への影響が大きいものです。本来は治療に使うものですから、日常では飲まなくても良いものです。飲むとしたら、熱っぽさを感じたり、のどや歯茎が腫れたり痛みのあるときがよいでしょう。

日本も中国も「板藍根」でウイルス感染が予防できると一般的にいわれているので注目されていますが、今回は科学成分だけではなく、更に一歩踏みこんだ、使い方を皆さんに理解していただければと思っています。本来は治療に使うものですから、日常では飲まなくても良いものですが、飲むとしたら、熱っぽさを感じたり、のどや歯茎が腫れたり痛みのあるときすぐ、がよいでしょう。板藍根が手に入らない場合はドクダミ茶をうまく使いましょう。ドクダミ は板藍根と似たはたらきがあります。

科学的な実験を行い、結果として「抗菌・抗ウイルス効果がある」といわれる生薬は数多くあります。板藍根のほかにも生姜、ヨモギなどがあります。ただし、全てのものが「今の自分」に効果があるとは限りません。熱のあるときには板藍根、冷えを感じているなら生姜、ヨモギのような温めるものを摂るなど、これからは自分の身体を自分で観察して、身体の状態とそれに対してどうすればよいのか、判断できるような時代になるでしょう。


「人活一口気」~生きていくには、気は必要で不可欠なもの~
この「気」は「元気」の「気」です。目には見えませんが、身体を温めて体温を維持したり、身体の外から病気を引き起こすもの(今回の新型コロナウイルスはその一つです)が入らないようにする(バリア機能)などのはたらきがあります。

上記の板藍根は、熱をさます性質をもつため、身体が冷えているときに摂ると「気(陽気)」を傷つけ、バリア機能の低下につながる可能性があります。そうなると、せっかく板藍根を摂っても、逆効果になってしまうことがあります。

ポイントは、「口に入れるものは、基本的にはそのときの身体に必要なものを選び、必要なタイミングで、必要な量を飲食することが重要だ」ということです。難しいことのようですが、まずは各自が自分の身体に興味を持って観察していけば、だんだんわかるようになります。

予防についての話題は今回でおしまいです。病気になるかならないかは我々の抵抗力の次第、今回の新型コロナウイルスをきっかけに、新型コロナウイルスだけでなく、感染症以外の病気にもかからない身体づくりをしていきましょう!

次回は中医師(原口と劉)二人が語る「感染症から見る、漢方と中医学、どこが同じでどう違う?」という話題です。どうぞご覧ください。
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リュウ・メイ
劉 梅 – Mei Ryu[中医師]

中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

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