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公開日:2020.04.02 更新日:2020.05.0121127view

漢方で見る感染症対策Vol.3 免疫力を高める漢方養生法

新型コロナウイルスへの皆さんの不安な気持ちを少しでも解消するために始めた、「漢方で見る感染症対策」の連載は、今回で三回目を迎えました。今までもぐさや酢を使った「部屋の消毒」方法、高齢者や胃腸が弱い方への対策を紹介してきました。今回のテーマは、「総合的な漢方養生法による感染症への対策」です。

漢方で考える免疫力アップ
感染症対策のキーワードの一つは「免疫力」と言われています。「免疫力」とは「体内に病原菌や毒素その他の異物が侵入しても、それに抵抗して打ちかつ能力。また、異物と反応する抗体を作って発病をおさえる抵抗力を持つこと」と表現されています。

漢方で免疫力アップ=身体を整えること
免疫力が低下している場合は滋養強壮を使い、免疫過剰の場合はその反応(発熱、分泌過剰など)に対して解消するものを使います。結果として免疫力アップにつながります。

免疫を整える養生法
では、どうやって身体のバランスを整えればよいのでしょうか?そのために大事なことは睡眠と食事、それに生活のリズムです。さらに大切なのは不安な気持ちを取り除くことです。

●よく寝る
寝ている間に、免疫機能、代謝とメンテナンス、呼吸、便を作り大腸の環境を整える、生殖機能の回復、ストレス発散、警戒機能の7つが行われています。
身体がだるい、調子が悪いと思ったら早く寝ること!

生活リズムを整えるためにも、休日でも朝の起床時間を変えないほうがいいですね。
そして、エネルギーが充実している朝日を浴びて思いっきり深呼吸をしましょう。
身体のバランスを整える最高の養生です!

●温飲、温食、そしてよく噛む
胃腸に過度の負担がかかると、エネルギーや栄養を作る力が低下します。
「お腹がすいていなければ無理に食べない、食べ過ぎない」のが基本です。そしてよく噛むこと。30回よく噛んで唾液を出し、胃に送るのが胃腸に負担をかけないコツです。
また、冷たい飲み物、食べ物は胃腸の働きを低下させてしまします。お腹を冷やさないように温飲、温食を徹底しましょう。

●抑目静耳(よくもくせいじ)
目と耳から受ける刺激は気を乱すことになります。過剰な情報は、精神が疲労し不安が増してしまいます。TVや携帯の見過ぎも考え物です。自然の景色や音は心を整えてくれます。
公園や河原でゆっくり過ごすことも大切です。


厚生労働省ホームページ
新型コロナウイルス感染症の予防法
問13 感染を予防するために注意することはありますか。心配な場合には、どのように対応すればよいですか?
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q13

WHO COVID-19流行によるストレスへの対処
https://extranet.who.int/kobe_centre/sites/default/files/pdf/Coping-with-stress-print-JPN%20ver.pdf


肺と腎の気を強化しよう
原菌や毒素その他の異物から身体を守るために、漢方では五臓六腑の「肺」と「腎」の気を強化します。
「衛気」(えき)と呼ばれる肺の気は、身体の外側にあり身体を守るバリア機能があります。
また、腎の気は「元気」や「真気」(しんき)と呼ばれ、生命力の源とされています。生きていくために必要不可欠な気であるため、腎の気が弱いと全身の機能が弱くなります。

次にあげる食材は「肺」と「腎」の気を補ってくれる代表的な食材です。

〇肺の気を補いバリア機能を強化
白ゴマ、もち米、松の実、百合根、落花生、牛乳、白きくらげ、ぎんなん、杏仁、いちじく、レンコン

〇腎の気を補い生命力を強化
黒ゴマ、昆布、羊肉、シジミ、パイナップル、粟、ハスの実、豚肉、味噌

〇肺と腎の気を補いダブルで強化
鴨肉、ニラ、サクランボ、山椒、ナマコ、干しブドウ、山芋、クルミなど


普段の食事にちょっと意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、食品でも手に入る漢方素材でおススメは霊芝、高麗人参、山薬(やまいも)、ナツメ、クコなどです。お茶や薬酒、料理にちょっと加えてみるのもいいですね。これらの素材が入った健康食品もおススメです。

次回は劉梅先生による今話題の「板藍根」の正しい使い方と、「気」とは何か?についての話です。どうぞご覧ください。
「漢方で見る感染症対策」記事一覧 はこちら

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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