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公開日:2019.07.10 更新日:2020.08.116845view

紫外線ケアを後押しする「夏野菜のカレー」

未病を癒す美養生 Vol.2

紫外線ケアと「冬病夏治」の両立

みなさんこんにちは! 日本列島、まだまだ雨の季節ではありますが、7月の声をきくと気分は一気に夏モードになります。夏の美容でまっ先に頭に浮かぶのは、何といっても紫外線ケア。最近は、皮膚が日光に過敏に反応してしまう人が増えているのか、黒い日傘、アームカバー、サングラスなどで完全防備する人の姿も見られます。

紫外線を浴びると、身体を守るために肌の内側ではメラニン色素が産生されます。ターンオーバーの乱れなどでメラニンの排出がスムーズにいかないと、未来のシミの原因に。紫外線は肌のハリにもダメージを与え、老化させるため、強い日差しには十分に注意する必要があります。

ただ、日差しを浴びることがすべて悪いわけではありません。丈夫な骨をつくったり、自律神経を整えるためにも必要です。

日差しを味方に「冬病夏治」を

東洋医学の古典には、「冬病夏治(とうびょうかち)」という言葉が出てきます。喘息、関節痛など、冬になるとひどくなる病気は、症状が比較的軽い夏の時期にしっかり治療することが大切であるという考え方です。これは、美容にもいえることだと思いませんか?

夏は汗で肌がしっとりしているように感じますが、実は体内は水分もエネルギーも枯れぎみ。さらに、暑さで食欲が出ず、そうめんやアイスクリームなど冷たくて食べやすいものばかり食べたりしていると、脾胃の疲れや生活の乱れが、気づかぬうちに体に蓄積します。よく、秋から冬になると決まって肌が荒れたり、ひどい便秘になる人がいますが、その根っこには夏の不養生があるのかも。肌の代謝リズムが崩れ、夏に浴びた紫外線の悪影響が出やすくなるかもしれません。

肌の調子が崩れやすい秋から冬場に向け、夏はスキンケアにも「冬病夏治」の発想を! そこで取り入れたいのが、薬膳で行う美肌のためのインナーケアです。

シミは「瘀血」の印! ケアのためにとりたい食材は?

東洋医学では、血の滞りのことを「瘀血(おけつ)」といいます。肌にできる紫色のアザ、クマの正体は瘀血。紫外線によってできるシミも、肌にできる瘀血の印と考えます。瘀血をケアするには、血の巡りをよくすることが何より重要。漢方薬や鍼灸はもちろん、食材の中にも、瘀血のケアに役立つとされるものがあります。

まずおすすめしたいのが、夏野菜の代表である「ナス」。ナスには、血にこもった熱を冷まし、熱による血の滞りを取り除いてくれる性質があります。ナスの皮にはナスニンという抗酸化物質があり、皮ごと食べることで老化対策にも一役買ってくれるでしょう。

カレー粉のターメリックで血の巡りをサポート

瘀血を予防する食材で、もうひとつおすすめしたいのが、日本ではウコンとして知られるターメリックです。健康食品にも含まれるウコンは、血の巡りをサポートするので、瘀血対策になります。血流の悪さは、美容面だけでなくさまざまな病気の原因となるので、夏場に限らず年間を通して改善したいテーマ。風味付けにカレー粉を使えば、手軽にできそうですね!

ナスのキーマカレーで夏美容

夏の瘀血対策におすすめのナスとターメリックを使った薬膳をご紹介します。熱を冷ます作用のあるトマトとゴーヤをトッピングすることで、日差しを浴びてほてった体がスッキリします。ターメリックライスにすることで彩りもよくなり、薬膳パワーも期待できるでしょう。
夏においしいカレーで、体の内側から、美しく、健康に夏を乗り切ってください。

ナスと鶏ひき肉のキーマカレー
《材料》2人分
・ナス…1本        
・たまねぎ(小)…1個   
・鶏ひき肉…150g      
・サラダ油…大さじ1
・カレー粉…大さじ2
・にんにく、しょうがのみじん切り…各大さじ1 
・コンソメキューブ…1/2個
・ケチャップ…小さじ1
・ナンプラー…少々
・塩・こしょう…少々
・トマト、ゴーヤ…適量

・ターメリックライス…米2カップにターメリック(粉)小さじ1/2を加えて炊く

《作り方》
①ナスはヘタを取って2㎝程度の角切り。水でさらして塩をふっておく。たまねぎはみじん切りに。
②フライパンに油を入れて熱し、にんにく、しょうが、たまねぎを炒める。
 香りがたったら水気を切ったナスを入れて炒める。ひき肉を加えて炒め、色が変わるまで火を通す。
③カレー粉を入れて炒め、水1カップと砕いたコンソメ、他の調味料で味をととのえる。
④トマトはざく切りに、ゴーヤは縦半分に切って種とワタをとり薄切りにして塩水にさらす。
⑤ターメリックご飯にカレーをかけ、④を添える。

色鮮やかな夏野菜には、日光から身を守るために抗酸化成分がたっぷり含まれています。薬膳では熱を冷ます働きがあるとされるので、暑い季節にうれしい食材です。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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