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公開日:2018.10.01 更新日:2020.05.199034view

漢方の基本“五行”とは~自然界と身体のネットワーク

ようこそ!はじめての漢方 Vol.6

生活にかかせない5つの要素とは?

日々生活していく中で生活に欠かせないものはなんでしょう?
・・・皆さんは、どう答えますか。

古代の先人たちは、木・火・土・金・水の5つであると考えました。
これを、もく・か・ど・こん・すい、と言います。
この5つの要素は自然界において巨大なネットワークでつながっていると考え、五行(ごぎょう:5つの巡り)と表現しています。
では、先人たちが自然観察の中で、この5つの要素がどのように関わり合いながら巡っていると考えたのか、イメージをふくらましてみましょう。

一つ目の巡りは、木火土金水の順番に→を引き5角形を作ります(太い矢印ですね)。

木は、こすれあって火が生まれます。
火は、燃え終わって土にかえります。
土の中から、金属が掘り出されます。
金属には、冬の結露のように水滴が生じ、水が生まれます。
そして、水は、木を育てます。

これを助け合いの関係(相生そうせい関係)といいます。

二つ目の巡りは、できた5角形の中に→の方向に注意しながら星を書きます(点線の矢印です)。

木は、土から養分を吸い取ってしまいます。
土は、水の流れを変えたり止めることができます。
水は、火の勢いを弱めることができます。
火は、金属を溶かし形を変えることができます。
金属は形を変え、木を切り倒したり剪定することができます。

これを抑制の関係(相克そうこく関係)といいます。

五行で自然界のネットワークを形成

このように、5つの要素は互いに促進と抑制(相生相克関係)をしながら自然界のネットワークを形成していると考えました。

例えば、木を見てみましょう。
木は、水に助けられ、火を助けます。(相生関係)
また、土を抑制し、金から抑制されます。(相克関係)
このように木は、他の4要素とそれぞれ違う矢印の関係で成り立っています。

そして、どこかがアンバランスになっているときには、その弱いところを強化するために相生関係のどの機能を促進してやればいいのか、相克関係のどこを抑制してやればいいのか見ていきます。
それは、部分的な補正をしているように見えますが、同時に全体のバランスを整える結果になります。

木・火・土・金・水から五臓へ

漢方は、Vol4(漢方の基本“陰陽”とは)の冒頭で書いた通り、私たちの身体は自然界と同じ原理原則でできていると考えましたので、五行の相生相克関係も、そのまま身体の仕組みとして応用します。それを五臓と言います

五臓とは、肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん)のことで、具体的な臓器ではなく、5つの生理機能をあらわしたものです。
西洋医学の臓器とはイコールではありません。同じ漢字を使うのでごちゃごちゃしますが、身体の生理機能を肝木、心火、脾土、肺金、腎水の5つにまとめ上げたと考えてみましょう。

五臓は五行と同じように、お互い助け合い(相生)、抑制しあい(相克)ながら密接にかかわりあい、身体の健康管理をしています。そして、そのバランスが崩れると、私たちの身体からは、特徴的な自覚症状があらわれてきます。

漢方ライフにある【自分を知る五臓チェック】で自己チェックしてみましょう。

漢方相談をするときに自覚症状を細かくお伺いするのは、五臓であればどのバランスが崩れているかを判断するためでもあります。そして、どの矢印関係を修復していけば良いかを分析し養生提案や漢方薬を選んでいきます。

身体は全てつながっていて一つの自覚症状は、出ている場所だけの問題ではなく身体全体が関わっていると考えるのが漢方の大きな特徴ですね。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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