- 鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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漢方の基本“陰陽”とは?・・健康養生の極意
ようこそ!はじめての漢方 Vol.4
“自然に生きる”がキーワード
自然からの恩恵(空気・水・食料・木・火・金属など)によって生かされている私たちは、自然と共存することこそが、健康へのキーワードであると考えました。
古代の人々は、自然と共存する私たちの身体は、自然界の原理原則と同じではないかという考えに至ったのだと思います。
例えば、火を燃やせば熱は上に上がっていきます。
お風呂のお湯も上のほうが熱いですね。
では、私たちがちょっと熱っぽいと思ったら、どこを触りますか? ・・・・おでこですね。
次に、川の水は高いところから低いところに流れていきますね。
私たちも一日の終わりには、足はむくんでいきます。
ということは、私たちの身体は、自然界と同じように上半身は熱がたまりのぼせやすく、下半身は冷えてむくみやすいということがわかります。首から上は服を着てないのも、うなずけますし、目が充血しやすく、神経が高ぶりやすいのも理解しやすくなりますね。
このことからも、頭を涼しくして足を温める、頭寒足熱(ずかんそくねつ)は、身体のバランスをとる、とても良い健康法であることがわかります。
自然の原理原則が分かればその応用で、人の身体のことを考えた古代の人々には感心させられます。
素朴な自然観察からできた陰陽論
陰陽論は、古代の人々の素朴な自然観察から生また自然界の原理原則です。
混沌としてなにも区別がつかなかった状態から、何となく軽いものが上に集まり始め、何となく重いものが下に集まり始めたと考えてみましょう。アナログテレビの電波が通じていない砂嵐の状態から、白と黒がだんだん分かれ始めて白黒放送が始まったと考えてみるのも面白いですね。
軽くて、活発、明るく、熱いイメージが【陽】で、白であらわされ
重くて、穏やか、暗く、冷たいイメージが【陰】で、黒であらわします。
陰陽は、太陽と月、火と水、昼と夜、夏と冬、明るいと暗い、早いと遅いなど、世の中のすべての事物は対照的な2つの要素で成り立っていると考えます。
さらに、どちらか一方のみ存在することは、この世ではあり得ないとも考えました。
陰陽図(上の図)を見ると白の中にも黒は存在し、黒の中にも白は存在していますね。
また、常に陰陽はバランスを取るため時間とともに変化しており、陽が極まると陰に代わり、陰が極まると陽に変化すると考えました。
1年で考えてみましょう。
春分の日から、明るい時間はどんどん長くなり夏至の日にピークを迎えます。秋分の日以降は、暗い時間がどんどん長くなり冬至にピークを迎えます。この繰り返しですね。
1日に置き換えても、明るい時間と暗い時間で、同じことが言えますね。
宇宙や惑星の、研究や概念がなかった時代に、素朴な自然観察から確立された陰陽論は、
自然との共存をキーワードとする漢方理論の基本になっています。
陰陽論から考える健康・養生の基本
自然に生きる、を基本に陰陽をベースに考えていきましょう。
明るい日中の陽の時間に良く活動することで、暗い夜の陰の時間にしっかり休むことができ、
夜にしっかり休むことで、日中に良く活動することができます。
陰の時間を快適に過ごし、陽の始まりである【朝】は、エネルギーに満ち溢れた時間です。
疲れを取りたい休日の日などは、早起きをして新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら、散歩などをしてみましょう。午前中に活動して、ちょっとお昼寝するぐらいの方が、疲れは取れやすくなりますよ。
また、1日は24時間と考えると、活動する12時間【陽】と、休息する12時間【陰】と考えることができます。食べて活動する12時間と、何も食べず休む12時間をつくるようにしてはどうでしょう。
まずは、睡眠時間を含めて最低10時間は、身体と胃腸を休める生活をおすすめします。
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