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公開日:2018.05.10 更新日:2020.05.196638view

「大根の塩麴漬け」で作る気巡り発散サラダ

薬膳常備菜Vol.24

新緑鮮やかな時季、大切なのは気の巡り

「一年で最も好きな季節はいつですか?」と聞かれたら、私は迷わず「5月」と答えます。
ゴールデンウィークから梅雨入り前のこの時季は、一年の中で最も気持ちのいい季節。空気はカラッと爽やかで、木々の鮮やかな新緑が一段とまぶしくなります。季節が進むのが早かった今年は、大好きな時季をいつもより長く楽しめそうです。

5月の初旬から、暦のうえでは早くも夏。中医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』では、夏の3か月を「蕃秀(ばんしゅう)」といいます。蕃秀とは、万物がすくすくと成長し、花々が咲き、草木が繁茂するという意味。そういえば、庭の植木も町の街路樹も、伸び伸びと枝を伸ばしていますね。

庭仕事が好きな人がこの時季に行う作業といえば、雑草取りや枝の剪定。密集した根っこや、密集した枝の風通しをよくしてあげることで、草木はますます元気に成長します。陽気の高まる今の時季に必要なのは、この“風通し”のよさ。今の時季をより活動的に過ごすために、私たちの体も、すっきり風通しのいい状態にしておきたいものです。

人間にとっての“風通し”は、“気の巡り”に他なりません。ストレスがたまっていたり、余分な水分が体内に停滞していたりすると、気の巡りが失調してしまいます。今の時季に必要なのは、消化機能を健康に保つことと、気を発散させることです。

こんなとき薬膳では、香りのよい薬味野菜やハーブ、柑橘類などを勧めます。薬味野菜をメインにした気巡りを高めるサラダを、私は「発散サラダ」と名付けています。

発散サラダに大根と麹のパワーを

さて、今月の薬膳常備菜は、そんな「発散サラダ」の気巡り効果を後押ししてくれる「大根の塩麴漬け」です。香りのよい野菜は、薬膳では解表(げひょう)というグループに分類され、皮膚のキメを開いて適度な汗を出し、表面から発散させます。柚子やみかんなどの柑橘類は、理気というグループ。気を動かし、臓腑、特に消化機能の調子を整えます。

そこにプラスしたいのが、大根や麹など。消化酵素をたっぷり含むこれらの食材は、胃の滞りを取り除き、すっきりさせる作用があるのです。まさに、体の中の“風通し”をよくしてくれる組み合わせといえるでしょう。

漬物なので、そのままごはんのお供にしてもよいのですが、この時季は、薬味野菜たちと組み合わせて「発散サラダ」にするのがおすすめ。大根と一緒に漬けた切昆布も一緒に混ぜ込み、たっぷり召し上がってください。爽やかな香りのサラダは、まさにこの季節にぴったりのおいしさです。

気持ちのよい季節が終われば、次に来るのはジメジメとした梅雨。発散パワーで体内の巡りを順調にし、滞りを解消しておきましょう!

【材料】
大根…200g
塩麴…大さじ2
切昆布…5g
鷹の爪…1本

【作り方】
①大根は皮をむき、縦1/4に切ってから薄切りにする。
②保存用袋にすべての材料を入れ、大根に塩麴をよくなじませてからしっかり口を閉じる。半日以上置けば出来上がり。

【食材メモ】
大根:消化を促し、気の巡りをよくする。胃もたれ、吐き気、便秘に。痰をとる力もあり、咳やのどの炎症にも。
麹:消化を促し、おなかの調子を助ける。
昆布:気の停滞による余分な水分を取り除く。腫瘍などを柔らかくする働きがあるとされる。

「大根の塩麴漬け」を細くきざみ、パクチー、茗荷、長ねぎ、甘夏と合わせて「発散サラダ」に。
香りのパワーをたっぷり取り入れ、気分も爽快に!

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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