- 岡尾 知子 - Tomoko Okao
漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!
◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/
◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com
◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/
かぜのはやり始める季節の滋養食「半熟味付け卵」
薬膳常備菜Vol.17
秋は乾燥に要注意!
10月は、1年の中でも過ごしやすく、気持ちのいい月。からりとした秋晴れの下で、旅行やスポーツを楽しみたくなります。でも、楽しい予定を立てすぎて疲れをため込まないことも大事。なぜなら、外気が乾燥する秋は、かぜが流行しやすい季節でもあるからです。
漢方では、自然界は常に変化を繰り返し、それぞれに季節には異なる特徴があると考えます。秋の特徴は「燥」。体の中で特に乾燥に弱いのは五臓の「肺」で、乾燥の邪気が体に侵入すると、肺の働きが低下しやすくなります。
肺に代表される呼吸器の粘膜は、体を病気から守るバリアのようなもの。粘膜が潤っていれば、バリア機能は正常に働きますが、乾燥すると防衛能力が低下し、外的刺激に弱い体になってしまうのです。乾燥は、病気への抵抗力低下のサイン。「のどが渇く」「声がかすれる」「乾燥してから咳が出る」といった症状が現れたら、それは体が乾きを抱え始めた第一段階。早めに手を打ち、乾燥を防いで抵抗力をアップさせるケアが必要です。
温かい飲み物でのどを潤したり、室内に加湿器を準備したり、首を冷やさないように服装に注意することも有効。それと同時に、食べ物からも潤いを補って、元気をつけるような食材をとっていきましょう。
卵は薬膳の世界でも完全栄養食
空気が乾燥し、かぜが流行り始める秋におすすめの食材は何か。それは「卵」です。卵は、良質のタンパク質源で、必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。さらに、ビタミン、ミネラルも豊富。栄養価が非常に高いことから、「完全栄養食」と呼ばれています。
漢方薬膳の世界でも、卵は非常に優秀な食材のひとつ。五臓の肺、心、脾、肺、腎に作用するとされるため、弱った体のさまざまな部位に働きかけてくれます。特に優れているのは、潤いを与えて渇きを癒す力。呼吸器を潤し、空咳やのどの渇き・痛みにおすすめなので、かぜのはやり始めるこの時季に頼れる食材といえるでしょう。
今月の薬膳常備菜は、そんな卵を使った「半熟味付け卵」。やわらかくゆでた卵を、だしとしょうゆで作ったつけ汁につけた一品です。たくさんゆでて漬け込めば、冷蔵庫で5日程度保存できますから、ラーメンやうどんに入れたり、サラダにトッピングしたり、1品欲しいときにも便利です。
潤いを補い、余分な熱を取り除く力にも優れた卵は、薬膳では不眠や精神不安にも有効とされています。秋の夜長、夜更かしして眠りが浅くなりがちな人にもおすすめしたい食材です。便利でおいしい常備菜は、まさにこの時季、体と心に元気と若さを与えてくれるでしょう。
【材料】
・卵…6~8個
・だし汁…1カップ
・しょうゆ…大さじ4
・みりん…大さじ4
【作り方】
①卵は冷蔵庫から出して常温に戻しておく。
②鍋にだし汁、しょうゆ、みりんを入れて火にかけ、冷ましておく。
③鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させたら、卵を1個ずつおたまに入れ、静かに鍋の中に入れる。中火で5分間ゆでたら、氷水にとって水の中で殻をむく。(卵がとても柔らかいので丁寧に。漬け込むことで身がしまるので、白身が多少割れても大丈夫です)
④卵を保存容器に入れ、②を注ぎ入れる。1晩以上漬け込めば出来上がり。漬け込み時間が長くなるほど、味がしっかりしみ込む。保存期間は5日程度。
【食材メモ】
卵:体を潤し、こもった熱を取り除く「陰」を補う。肺の乾きによる喉の乾燥や空咳、発生困難に。血を補う力もあり、精神不安や不眠、めまいにも。
温かいご飯に、トロトロの半熟卵、かつお節と青ネギをトッピングしました。冷蔵庫に作っておけば、忙しい朝食にも重宝します。
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