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公開日:2017.09.01 更新日:2020.05.206572view

季節の変わり目の体力低下に「カツオのづけ」

薬膳常備菜Vol.16

季節の変わり目は体調を崩しやすいとき

今年は、意外にも雨の多かった夏。猛暑もつらいけれど、雨が多くて体調を崩しがちだった方も多いのではないでしょうか。そんな夏も終わり、9月になると、気候は一気に秋めいてきます。
季節の変わり目は体調を崩しやすいとき。まだまだ汗ばむ時季ですが、朝晩を含めて肌寒い日も増えてきますから、健康管理をしっかり行いたいですね。

漢方では、季節を陰と陽に分け、一年のリズムを大切にします。
9月下旬にやってくる「秋分の日」は、自然界の気が陽から陰に切り替わるとき。
目には見えませんが、その変化は思いのほか大きなものなので、体力のない方や高齢者の方は、体調に気を付ける必要があります。
特に、夏なのに雨が多く、梅雨の様なじめじめとした日が多かった今年は要注意。しっかりと栄養をつけ、夏に消耗したパワーを補ってください。

戻りガツオで血液サラサラに

では薬膳では何を食べるのがいいのか。おすすめは、気を補うパワーのある食材です。気を補う食材には、米、イモ類、牛肉、鶏肉など、いろいろなものがあります。
その中でも、この時季おすすめなのが「カツオ」です。

カツオは鰹節の原料でもあり日本人におなじみの魚。
薬膳的には、冷やしもしないし温めもしない「平」の性質のある食材で、どんな方も取り入れやすい食材といえます。消化機能を担う「脾」と、生殖や老化に関わる「腎」の働きを補う性質があるため、疲れによる食欲不振や、足腰のだるさが気になる人に◎。
さらに、水分代謝の失調によるむくみにもおすすめです。じめじめと湿気の多かった今年の夏は、むくみやだるさが気になるので、カツオのパワーは大いに助けになるでしょう。
栄養学的にみると、カツオはタンパク質と鉄分が豊富。さらに、血液をサラサラにしてくれる不飽和脂肪酸のEPA、DHAも豊富です。
特に、脂ののったこの時季の“戻りガツオ”は、EPA、DHAがたっぷり!食べない手はありません。

今月の薬膳常備菜は、「カツオのづけ」。刺身用のカツオをしょうゆだれにつけるだけの簡単な常備菜です。たれに漬けると、カツオ独特に鉄臭さが解消するので、カツオが苦手な方でも食べやすくなります。そのまま食べてもいいし、ひと手間加えれば、アレンジ料理にも変身!
カツオ料理のバリエーションが広がる常備菜で、おいしい戻りガツオをモリモリ食べてください。

【材料】
・カツオ(刺身用)…1本(150~200g)
・たまねぎ…1/4個
・しょうが…1/2片
・しょうゆ…大さじ3~4
・みりん…大さじ3~4

【作り方】
①カツオは1㎝の厚さに切る。たまねぎは皮をむいてスライスする。しょうがは皮をむいてすりおろす。
②しょうゆ、みりん、おろししょうがを合わせて混ぜる。
③保存容器にカツオ、たまねぎを並べ、②のたれをかける。15~20分つければ出来上がり。保存は冷蔵庫で2~3日。時間がたつと色は変わるので、2日目以降は加熱がおすすめ。

【食材メモ】
カツオ:気を補い、食欲不振やむくみに。腎の不調でもある頻尿、足腰のだるさにも。
たまねぎ:気の滞りをとり、消化を助ける。げっぷ、胃もたれ、食べ過ぎなどにおすすめ。おなかの冷えにも。
しょうが:体を温め、発汗を促す。胃の冷えをとり消化機能を助ける。魚介類の毒をとる作用も。

生で食べるのに飽きたら、黒粒胡椒と片栗粉をまぶして揚げ焼きに。一緒につけたたまねぎのスライスも、片栗粉をまぶして揚げました。酒の肴や、お弁当のおかずに。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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