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公開日:2017.04.01 更新日:2020.05.204696view

花咲くように全開したニキビを解消! ~清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.23

桜の開花宣言は、春の気分を浮き立たせますね。けれど一部の方にとっては、つらい症状が出てくる季節でもあります。

漢方では、春の不調は風が引き起こすものと考えます。暦の上では2月初旬の立春、3月中旬の春分を経て、5月上旬の立夏までを春といいます。春の不調を、発生する時期から3つにわけてみてみましょう。

まずは立春を過ぎて2月中旬から出始めるのが花粉症。鼻や目を春風が運んでくる花粉が攻撃して起こります。3月下旬から桜の開花宣言を待っていたかのように顔面で花開くのがニキビ。冬の間に潜んでいたものが、プツプツと表面にあらわれます。そしてゴールデンウィークがあけた春の終盤戦には、風で気分が揺すぶられて起こるような気鬱症、つまり五月病で悩む方が増えてきます。

このように、季節と不調は強い結びつきがあるのです。

さて春に芽吹いてしまったニキビ。小さくプツプツとしたもの、先が赤くなったもの、痒みを伴うものがよくみられます。冬の寒さで縮こまっていたものが解放されるため、このような傾向がみられるのです。

この改善によく利用されるのが清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)です。皮膚トラブルを解消する漢方薬は多種ありますが、その中でも清上防風湯は、皮膚科の医師が好んで使う処方のひとつです。

処方の名前から連想できることはありませんか?
「清上」は、「体の上部の熱を冷ます(清熱)」という意味をあらわしています。
「防風」はセリ科植物の根で、体表面にあらわれる毒素を外に発散させる生薬です。「風の影響から身体を守る、防ぐ」という意味もあらわしています。
顔がのぼせて全体的に肌の色が赤く、ニキビの頭も赤みをおびているものに適用します。

つらい症状に漢方薬を用いて改善するのはもちろんですが、漢方薬以外でも対策がたてられるとよいですね。薬膳では余分な熱をさます食材、もやしや緑豆、ハトムギ、トマトやきゅうり、ドクダミなどが利用されます。
特にハトムギは薏苡仁(よくいにん)という名前の生薬でもあり、お米と一緒に炊いて食べたり、ハトムギ茶として水分補給に用いたり、化粧水に配合されるなど、応用範囲が広い食材です。ただし、冷やす性質と水めぐりをよくする働きがあるので、摂りすぎないよう注意が必要です。

漢方薬も薬膳も、正しく利用すればより効果を発揮してくれます。ぜひ興味をもって生活に取り入れてみてください。

さて漢方薬シリーズは、今月で一区切りとなります。ご愛読、ありがとうございました。次回から、劉先生の「花めぐり」がスタートします。これからも楽しんでくださいね。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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