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公開日:2016.11.01 更新日:2020.05.203578view

髪のトラブル、名医の治療方法とは!?

中医の玉手箱(4)

上海で中医を学んでいた私が、病院に実習に行っていた時のことです。月曜日に、Y先生の診察室の前が交通整理が必要なほど患者さんたちでいっぱいに。いったい何事が?と思ったら、Y先生が、前週に放送された地元のテレビ局の健康番組に出演されたとのこと。それを見た患者さんが大挙して押しかけていたのでした。私もその番組、「名医大会診」は見たことがあります。日本でも健康番組は人気ですが、中国でも大人気。みんな自分の健康に興味があるのですね。

この番組は、上海市内の大きな病院の医師が登場して、その日のテーマについて話したり、ゲストを交えてクイズをしたり、最後はそれに効くとされる料理を作って参加者全員で食べてみるというもの。私達の病院の先生が出演なさると、翌週月曜日はその先生の診察室に番組を見た患者さんがたくさんやってきます。
テーマパーク並みの混雑ぶりに、いったいどんな内容だったのかと聞いてみると「抜け毛と髪のトラブル」とのこと。なるほど~。抜け毛は老若男女問わず大きな悩みですからね~。抜け毛も様々な原因がありますが、先生は一体どんな治療をしているんだろう?

そこにいた大学院生の先輩曰く「これを使うんだよ」と見せてくれたのがコレ!「皮膚針」といって、棒の先の部分に生け花の剣山のような針がついています。針の本数がそれぞれ決まっていて、5本なら梅の花びらになぞらえて「梅花針」、7本なら「七星針」18本なら「羅漢針」と呼ばれています。この先生のおられる科は、漢方薬も飲み、鍼灸や推拿と呼ばれるマッサージも総動員して治療をする「伝統中医科」。抜け毛で診察に来た患者さんは、証を見て内服薬を出してもらいつつ、鍼灸も併用して総合的に治療します。

「皮膚針」はいったいどんな風に使うのかと思ったら「これで頭を叩くんだ」。目の前で患者さんが木魚のように頭をぽくぽくと叩かれているではありませんか。いえ、ぽくぽくどころか、さらに激しい8ビートぐらいで、ダダダダダと…。
うっすら出血するまで叩いて刺激するので、感染症防止のため、当日と翌日は洗髪禁止とのこと。「お姐さんにもやってあげるよ」。ギャー!私、抜け毛なーい!大丈夫ネ!

かなりの荒療治ですが、頭皮を叩くことによって血流を良くする、瘀血を取り除く、毛根の再生力を高める等の効果があります。
また、頭部は陽の気が集まるところであり、ツボもたくさんありますから、そこを刺激することによって、抜け毛や髪のトラブル解決だけでなく、全身の気の流れを整え頭をすっきりさせるはたらきもあります。
私達は皮膚針を使わずとも、ヘアブラシで叩いたり、髪をくしで梳くだけでも頭皮に刺激を与えて、髪を健康にし、頭をすっきりさせることができます。手元に何もなかったら、自分の指先で叩くのもよいですね。

頭皮を刺激して、髪も全身も元気に毎日を過ごしてみませんか。

原口 徳子
原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]

1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。

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